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ランク戦、開始


「霞、ちょっと」くいくい、とみちるが霞を手招きする。みちると優希はテーブルを囲んでいた。

「なんですか」
「隊服についてなんだけど、リクエストとかある?」
「リクエスト……動きやすいやつで」
「それはそうだけどって話よ」

見た目とか、なんかないの?みちるに言われ霞が顎に手をやって少し考える。服のことなんてよくわからない、というのが本音だったが、みちるからは「自分の隊服についての会議くらい参加しなさいよ」という威圧感を感じる。なにかは言わなければ。

「え、えっと……い、いま、色、どれにしようって見てたの」

優希が霞に助け船を出す。紙にいくつか色鉛筆で色が塗られていた。

「……」
「こ、この中、からにしようって……」
「……この中、ですか」

霞が珍しく苦虫を噛み潰したような顔をする。ピンク、紫、赤……女子らしい色のラインナップに、これおれも着るんだよな……と霞が眉を寄せた。

「ど、どうかした……?」

よかれと思って選んでいたであろう優希がおろおろと霞を見る。いえちょっと、と霞が言いよどむ。

「……黒とか、ないんすか」

これじゃ目立ちますよ、と霞が言う。本音は目立つかどうかよりも着たくないというのが大部分だったが。

「く、くろは……」
「先輩が着てるからだめなんだって」

みちるが腕でばつを作って説明した。知り合いの先輩が着てるからという理由に、黒なんて誰でも着てるだろとも思ったが、どうやら思い入れがあるらしい。うーん、と霞はもう一度色が塗られた紙を見た。

「……白で」

この中なら、それが一番ましだ。「し、しろ! わたしも、あの、いいなって!」どうやら優希もそうしようと考えていたらしく嬉しそうだった。





そんなこんなの話し合いもあって、ランク戦開始の本日、ようやく久野隊の隊服が完成した。

「お、おおお、おお……!!」

トリガーオンをして隊服になったことが感動したのか、しばらくがた優希は自分の姿を鏡で見ていた。霞も自分の服を見て、思ったより普通でよかった、とほっとした。

「それじゃ隊長、初試合だけど言うことある?」
「えっ、えっと……」
「……円陣でも組みますか?」
「え、えんじん……!」

「し、し、しよう!」初めてそういったことをする優希が嬉しそうに頷いて、二人と肩を組む。

「え、えと……さ、作戦ど、どおりに。け、怪我しないように、あ、トリオン体か……えと、」
「隊長ー? 普通に思ったこと言えばいいのよ」
「掛け声とか、そんなんでいいです」

「う、うん……!」二人の言葉に、優希が頷く。

「久野隊、が、頑張るぞぉ!」

優希の言葉に、みちるが「おーっ!」と声を出す。霞が「はい」といつも通りに言ってしまったので、「そこはおーでしょうが!」とみちるに怒られていた。