×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


帰宅後のハナシ

見てきた試合の話をしながらキヨくんママとご飯の用意をしていたら、玄関が開く音が聞こえた。
帰って来た……!
玄関から聞こえる物音に意識を取られて作業が止まった私を見たキヨくんママに「出迎えてきてあげて」ってにこやかに言われてしまうほどに、帰宅を待ち望んでいたらしい。
頬に集まる熱を感じながら玄関に向かえば、ちょうどリビングに入ってくるキヨくんに抱き止められた。


「ただいま、(名前)ちゃん」
「うんっ、おかえりなさい!キヨくん」
「腹減った。ねぇ、俺風呂入るから着替えとタオルよろしく……あと荷物もいい?」


私の後頭部に添えられていた手が頬へと移動してきた。
そのまま親指ですりすりと目元をなぞりながらお願いをしてきたキヨくんに返事をすれば、その答えに満足したのか体が離れていく。
浴室に姿が隠れるまで背中を見ていたら、キヨくんの両親が堪えきれないように笑い始めて何があったのか理解できていない私の頭上にはハテナが浮かぶ。
笑い疲れて大きく息をしているキヨくんママに笑った理由を聞けば「すっかり旦那気取りなあの子がなんだか面白かった」との事。
キヨくんパパを見れば同じ理由で笑っていたみたいで、同意するように頷いていた。


「せっかくだし可愛いお嫁さんに聖臣の服、洗ってもらおうかしら〜」
「っ!?は、はい……!」
「夕ご飯はもう出来上がるからあとはもう聖臣に時間使ってね。あの子(名前)ちゃん大好きだもの!たくさん気にかけてあげて」


お嫁さんだなんてキヨくんの両親から改めて言葉にされるとやっぱり照れてしまって……でもそれ以上に嬉しさが勝ってにやける顔を隠そうと荷物を掴んでキヨくんの部屋に逃げ込んだ。
洗濯物と着替えを持って脱衣所に向かう。
浴室内のキヨくんに声をかけて、洗濯機に汗を吸い込んでいるユニフォームやタオルを入れていたら浴室のドアがガチャリと開いた。
何か忘れ物?言ってくれれば取るのに。
……ドアの隙間からじーっと見つめられている気がする。
洗濯機を操作しながら振り向かずに声をかけた。


「キヨくんどうしたの?」
「……もう我慢出来ねぇ。(名前)ちゃんも一緒に風呂入って」


キヨくんの発言に驚いて振り向けば、ドアの隙間から伸びてきた腕に掴まれた。
目一杯の抵抗をしても、引っ張り込もうとする力が強すぎる。
浴室の手前でどうにか踏ん張っていたら、私が用意したバスタオルを掴んだキヨくんが服の上からすっぽりとくるんで、後ろから抱き締めてきた。
抗議しようと首だけ動かせば、大きな手に頬を押さえられて唇を塞がれてしまった。
ちゅっちゅっと唇が合わさる合間にも頬やバスタオル越しに腕を撫でられる。
次第に唇が吸われ、舌も絡め取られる頃には腰が抜けてキヨくんの腕に寄りかかるしか出来なかった。
支えられながら私はバスマットに座らされ、覆い被さるように体勢を変えたキヨくんは止まらない。


「はぁ……ね、だめ……!リビングにいるんだよ?」
「(名前)ちゃんがちょっと声我慢すればバレねぇだろ。シャワーも洗濯機も音立ててんだから」
「もう!なんでキヨくんはこういう時は慎重じゃなっ!?……んぅ」


必死の訴えもキヨくんの唇に飲み込まれて最後まで言わせてもらえなかった。
髪の毛から垂れてきた水滴が顔にかかって、ぴくりと体が反応したらそれに気を良くしたのか、キヨくんの腕が背と膝裏に回って私を持ち上げようと動いたのが分かった。
これ以上はダメだと慌てて首を横に振ったら、ジロリと見下ろしてきたキヨくん。
……その反応、普通なら私がやるものじゃないの?


「俺ここまで我慢したんだけど」
「今日お泊まりするって言った!それにこのままだと湯冷めしちゃう!ちゃんと温まってきて、あとご飯も用意してあるから……そ、それから!」
「…………分かった。その代わり(名前)ちゃんのコト絶対寝かさねぇ」


恐ろしい脅し文句を残して浴室のドアがピシャリと閉まる。
閉まったドアをしばらく見つめる事しか出来なかったがどうにか立ち上がり、服が濡れていないか確認してから新しいバスタオルを用意した。
戻りが遅い事に関して特に何も言われなかったけれど、浴室に連れ込まれそうになった恥ずかしさからキヨくんの両親を見れない。
いたたまれない気持ちでいる私などお構いなしに、シャワーを浴び終わったキヨくんはドライヤーを差し出してきた。


「乾かして(名前)ちゃん」
「え、あ、うん」
「正面から乾かして。(名前)ちゃんの顔見れねぇのムリだから」
「うん……分かっ、た」


座ったキヨくんの要望通りに正面から髪の毛を乾かしていれば腰に回っていたはずの腕は外れ、大きな手のひらが腰や足をするりするりと動き回るから集中出来なかった。
隣でご飯を食べている時も隙をついた指先にハーフパンツから出ていた太ももを何度もなぞられた。
時間をかけ積み上げられた大小様々な刺激は私よりも仕掛けたキヨくんの方が積み上がっていたみたいで、キヨくんが満足するまで眠る事は出来なかった。
それこそ宣言通りに、外から鳥の鳴き声が聞こえ始める時間まで……。



|



MAIN | TOP