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幸せのカタチ

宮ママにお呼ばれされて夕飯を食べている時にぽつりぽつりと降り始めた雨が、片付けが終わる頃には雷を伴って大荒れになっていた。
家は隣だけれど、傘を使ってもずぶ濡れになるんだろうな……って窓から外を見ていたら、なぜか頭からすっぽりと毛布を被ったサムくんに手を引かれて床に座らされた。
されるがまま、とりあえずソファーに背中を預ける。
色々と聞きたい事がありすぎて頭にハテナを浮かべながらサムくんを見ていたら、床に寝転んで腰にぎゅうっと抱き着いてきた。


「(名前)〜雷怖いから今日はここにおって?な?」
「……サムくん雷別に怖くないで、」
「また鳴ったでー俺めっちゃ怖いわぁ。(名前)ぎゅーってして。それから頭撫でてや〜」


毛布を被ったままお腹に顔をぐりぐり押し付けてくるサムくんの声は……何と言うか、とても楽しそう。
苦笑いしながら毛布に隠れた頭や背中に手を回すと嬉しそうにさらに擦り寄ってきた。
部屋から戻ってきたツムくんが私の上に盛り上がってる毛布、というかサムくんをげしげしと蹴って退かそうとしたけれど、力強く回る腕がそれを許さず私まで床に転がった。
サムくんに文句を言いながらも腕を掴んで体勢を直してくれたツムくんは後ろに回って私を足の間に挟んで抱き締めた。
ツムくんが肩に顔を乗せてくる。


「なんやこの芋虫。邪魔やねん」
「サムくんが雷怖いからここにいてってさ」
「何言うてんねん……って(名前)帰るつもりやったんか!?帰らんでええやろ。俺と一緒におってや」

片手で頬をむぎゅっと潰されながらツムくんにもここにいるように言われた。
今日は帰るつもりだったんだけどなぁ……って呟いたらサムくんがさらに抱き着いてきた。
ツムくんも首に回した腕に力を込めてくる。
小さく息を吐き出せば、ちらりと見上げて「行かんで〜」って駄々をこねるサムくんが上からどいてくれる訳もなく仕方なくスマホに手を伸ばせば双子が嬉しそうに名前を呼んできた。
家に連絡するとは限らないのに……。
すりすりと頬擦りをしていたツムくんが唇を何度も押し当ててくる。
それをムスッとした顔で見たサムくんがもぞもぞと体を動かしているところを黙って見ていたら、私の胸元にぽすんと顔を埋めてきた。
ねぇ、ちょっとサムくん……?


「あ〜(名前)のおっぱいめっちゃ柔らかぁ……なんでこんなふわふわなん……一生こんまま埋もれてたいわ」
「まぁ……脂肪の固まり、だからね……」
「脂肪やないねん。こんなん希望の固まりやで」
「ほんまやで」


毛布で隠れているのを良い事にツムくんの手が後ろから思いっきり鷲掴んできて「わぁっ!?」って叫んでしまった。
睨んだところで止まる訳がないツムくんは両手で感触を確かめるように持ち上げて揉み始める。
サムくんもずっと顔を埋めたままそこから動かない。
たまに動いたと思えば、ぐりぐりと顔を押し付けて柔らかさを堪能しているらしいけれど、双子は人の胸をなんだと思っているんだ……!
ふにふにと揉み続けているツムくんの手を掴んで文句を言っても「ほんま柔らかいわ〜」とか感想を言うばっかりで全く止まってくれない。
鼻歌交じりで胸を揉み続けているツムくんが「あ!」って閃いたような明るい声を出した。
……嫌な予感しかしないんだけど。


「今日はどんな下着やろか〜?」
「ちょっ、と!」
「ってサムの頭が邪魔であんま見えへんやん!顔どけろやっ…………え、めっちゃかわええやん……今日ずっとコレ付けてたん?アカンやろ、言うてや!」


ツムくんがTシャツの襟に人差し指を引っかけて上から覗き込んできた。
いまだにサムくんが胸元に顔を埋めていたからその頭をしっかりと押し退けてがっつりと見てくる。
手のひらで押されているサムくんは意地でも元の場所に戻ろうとしばらく戦っていたけれど、諦めたのかスッとその手から離れて行った。
どうするのか見ていたらサムくんは裾を掴んで、まさかの服の中に頭を潜り込ませてきた。
直にサムくんの顔が谷間に埋まっているから息が肌に当たってくすぐったい。
引き離したくても自分の服が邪魔でサムくんをどかす事が出来ない。


「ねぇ、ちょっとサムくん……!?」
「今日は(名前)に甘えたい気分なんや〜」
「もう……!」
「え、甘えたい言うたら(名前)のおっぱいに顔埋めていいんか!?」
「良い訳ないでしょ!ツムくん目キラキラさせないの!」


毛布で体が隠れている内に裾を持ち上げてサムくんを引っ張り出そうとしたら「いやや〜!」と駄々をこねてきたけれど、どうにかして服の外に出していたら肩越しから顔を覗かせていたツムくんが「大胆やな〜!」って楽しそうな声が聞こえたから、すぐさまシャツの裾を下げて整える。
整えていたら、またサムくんがぽすっと胸元に顔を埋めた。
ツムくんはぎゅーと私を抱き締めて顔をすりすりと押し付けてくる。
しばらくそうしていたら……毛布があるっていうのもだけど、やっぱり双子の体温にだんだんと眠気が襲ってきた。


「(名前)、眠いん?目がちょっととろんってなっとってかわええ事になってんで」
「んー……ちょっと眠くなってきたかも」
「かわええ〜……なぁ(名前)一緒にお風呂はい、」
「あんたらいつまで(名前)ちゃん拘束してんねん!シャワーくらい浴びさせたらな可哀想やろ!」


突然聞こえてきた宮ママの声に眠気が飛んでいった。
双子もいきなりの登場に驚いたのか、体がビクッと跳ねて私を抱き締める力が強くなる。
……宮ママの言う通りに順番にシャワーを浴びて双子の部屋でベッドに3人寄り添いながら横になったら、1日の疲労もあり私たちはすぐに夢の中へと旅立った。
寝ている間に私の胸元に擦り寄ってきた頭を抱き締めて寝ていたらしく、起きた時に片割れがそれを見て「ズルいズルい」と朝から騒ぎ立てる未来が分かったらもっと気を付けて眠ったのに……。



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