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攫われた!

今日の部活が午後開始だったから、その前に久々に少しおしゃれして出かけたら駅前で角名くんと出会った。
お互い1人だったから、そのまま一緒に行動する事に。
もちろん双子について聞かれたけど、あの双子が午後から部活だって分かっている休日に朝早く起きると思う?と伝えたら納得された。
目的地は歩きながら決めようと、話をしながらブラブラと歩く。


「(名前)は双子とトークアプリでグループ組んでる?」
「うんあるよ。3人のやつ」
「ちょっとスマホ貸して。でこっち寄って。……はい、うぇーい」
「そんな棒読みなうぇーい、初めて聞いたよ。送るの?多分2人まだ寝てるから気付かないと思うんだけど……」


角名くんと並んでピースしている写真が、グループトークに送られた。
何か食べるかスポーツショップに行くかの2択になって、最初に私たちはスポーツショップを選んだ。
今部活で使っているテーピングの使い心地とか、コールドスプレーの種類とか棚を見ながら話していたら私のスマホが振動している事に気が付いて、見てみたら通知が大変な事になっていて……とりあえず無言でそのロック画面を角名くんに突き付けた。


「オッホホ!不在着信ばっかり。いいよ電話しても。俺そういうの気にしないから」
「あーもう楽しみすぎ!それと断りを入れるために見せたんじゃなくて他に双子に何か送った?写真は見てたけど、ちょっと通知の数がすごくない?」
「ただ写真を送っただけだよ。いいから早く電話してあげなよ」
「うっ……もしもし?」
「やっと出た!今(名前)どこにおんねん!」
「ツムくん?あのね、」
「角名とデートとか聞いてへんで!というかそんなかわええ服着て他の男とデートとかアカーン!ちゃう!そもそも俺以外の男とデートなんかしたらアカン!」


スピーカー越しに話す勢いがすごすぎて耳からスマホを離してしまった。
離しても聞こえるツムくんの声量にいらない感心をしていると、返事がない事に向こうが焦り出したから、スマホを耳に当て直して話かけたら聞かれるだろうなと思っていた通り、現在地を聞かれた。
お店の名前を確認して言おうとしたら、角名くんに手からスマホを抜き取られてしまう。


「え、角名くん?」
「侑……それから治も、ここまでおいでよ。ちゃんと部活までには家に返すし双子の大事なお姫様は守ってあげるから。まぁ、来れなかったら俺がこのまま(名前)とデートするだけだから。じゃあまたね。……何か食べに行こうか」
「角名くん、もしかして2人に何かされたでしょ?」
「目を離した隙にスマホ使われたみたいで、フォルダに双子の自撮りが大量に入ってたの見付けてイラッとした」
「あー……それ私もよくやられる」
「だから双子に(名前)の写真を(名前)のトークアプリから送り付けてんの。他の男が撮った写真が届くって双子からしたら嫌でしょ」


電話が切られる直前までツムくんの叫び声が聞こえていたけど、すごい怒ってたな。
どうやら双子への仕返しに私は使われているらしい。
でも、撮った覚えのない双子の写真が大量にあったらびっくりするよね。
まさか角名くんにまでそれを仕掛けてたとは思わなかった。
私のスマホは角名くんが持ったままだから、このままついて行くしか今の私には出来ないけれど……、でも本当に写真の情報だけで双子が見付け出してくれたら嬉しい、かも。
あ、こうして角名くんと楽しんでしまっている私も同罪だよね……とりあえず捕まったら素直に怒られよう。


「あそこの店でいい?ガラス張りだし外見やすい」
「いいよ。何だかんだで見付けやすいところを選んでくれるんだね」
「必死に探し回っている姿を動画に残しておこうと思ってね。何かに使えそうじゃん」
「……角名くんの事は敵に回さないように頑張ろうと決めました」


ドリンクとフードを注文して、窓に面しているカウンターに座る。
食べている間も写真を撮られてはトークアプリに次々と送信されていた。
電話も来るけど、それには出ないみたいで全部無視している。
……ここにいられるのは後30分くらいかなぁと時計を見ていたら、視界の端に何かが引っかかった気がした。
窓の外を見ていたら見覚えのある姿を発見したから角名くんに窓の外を指差して伝える。


「ねぇ、あれサムくんだよ」
「え……あ、本当だ。治、首取れそうなくらいキョロキョロしてて目立ちすぎじゃん」
「手振らない方がいい?」
「どっちでもいいよ」
「そう?じゃあ手振ってみようかな」


気付くかなと思って手を振ってみるけれど、ガラス越しだから難しいよね。やっぱり気付かない。
だから心の中でサムくんって名前を呼んでみたら、もちろん偶然だと思うけどバチッと視線が合わさった。
目が大きく見開かれ、猛ダッシュでお店まで駆けてくる。
そのままの勢いで店内に入って来たサムくんに思いっきり抱き締められた。


「(名前)っ、(名前)……!めっちゃ探した。もう絶対離さんからどこにも行かんとって」
「見付けてくれてありがとう。……あぁ、すごい汗。ツムくんと合流して帰ろうか」
「……角名は危険やからしばらくは近寄ったらアカン」
「治たちが大量に写真残すからだよ」
「ツムくんに連絡するからスマホ返してね」
「待って(名前)、俺とも写真撮って?……それツムに送ったる」


ツーショットを私のスマホで撮ったサムくんは、そのまま3人のグループトークに送ってて……やっている事が角名くんと同じで笑ってしまった。
手元に戻って来たスマホでツムくんに駅前にいると連絡したら、ものの数分で現れて痛いくらいに抱き締められた。
私を抱き締めたまま2人に怒っているけれど、そのシーンまでも動画に収めていた角名くんは……やっぱり敵に回したくないなぁ。



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