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淋しさを埋めるハナシ

「き、キヨくーん」
「…………」
「そろそろ寝よ?ね?」


……困った。
ソファーに座らせられたと思ったら私の足の間に入り込んで、しがみついたまま動かないキヨくん。
顔を埋めているから表情は見えないけれど、ぐりぐりと押し付けてくるから寝てはいないらしい。
そっと頭を撫でてみたら、少し顔を上げたキヨくんが見上げてきたけれど眉間にシワを寄せていた。
見つめ合っていれば、ぼすんとまた頭を私の体に埋めてぎゅうと抱きついてくる。


「…………寝たら明日になる。そしたら(名前)ちゃんと離れ離れだ」
「それは、遠征だもの。し、仕方ないよ」
「分かってる。それでも、離れたくない……(名前)ちゃんは平気なワケ?また今回も離れ離れになる」
「淋しいよ、もちろん……でもキヨくんのバレーも好きだから」


ふらりと立ち上がったキヨくんにお姫様抱っこをされ、寝室に連れて行かれる。
私をベッドに下ろし、そのままのしかかってきたキヨくんを受け止めたら唇を塞がれた。
ぬるりと絡む舌が好き勝手に動いている。
ぴちゃり、じゅるりと音を立てながら、いまだにキスを続けるキヨくんの背中に回した腕に力をこめればおでこが合わさって目が合う。
首筋に顔を埋めてぺろりと舐められたのを感じた瞬間、強くその場所を吸われた。
……左右の首筋、どちらとも強く強く吸われた。


「服で隠れない位置につけた。酷い内出血をしてる……恥ずかしがり屋な(名前)ちゃんは俺が帰ってくるまでこれで外に出れない」
「……買い物行けないよ」
「だから今日車で買い出しに行った。(名前)ちゃんなら家にあるもので十分作れるってコト、俺は知ってる」


言いたいことを言い終えたキヨくんは見えている私の肌に、ちゅっちゅと音を鳴らしながら唇を滑らせている。
弱々しく声を漏らせば、小さいながらも満足そうに笑ったキヨくんが体の力を抜いてのしかかってきた。
圧迫感がすごいけれど、それがキヨくんだと思えば苦しさも気にならない。
首を伸ばして頬にキスをすれば、不満だとばかりに私を見下ろしてきた。


「(名前)ちゃん、他にするトコロがあるだろ」
「さっきたくさんしたから、ほっぺにしたの」
「……(名前)ちゃんからはしてもらってない」


唇を少しつきだして顔を近付けてくるキヨくんの顔を両手で押さえたら、手首を取られぶつかるようにキスをされた。
強引に舌を絡めてくるキヨくんは、掴んでいた手首からするりと指を絡めて枕に沈ませる。
息を吸い込んだ拍子に顔を上げてしまったから、キヨくんからのキスが中断された。
不満を漏らしたキヨくんが目の前にあった私の顎に唇を落として、肌を啄みながら喉元に吸い付くからぴくりと体が跳ねてしまう。


「(名前)ちゃんキスして」
「うん……」
「その顔、可愛い」


目を閉じて大人しく待っているキヨくんの顔を見ていたら、眉間にシワが寄り出したのが見えて触れるだけのキスを送った。
離れたのに、顔の距離が近くなっているのは……気のせいじゃないよね。
目の前には、まだ目を閉じて待っているキヨくんの姿。
足りないってアピールされている。
ちゅっと唇に吸い付けば、離れた私の唇を追ってきたキヨくんに塞がれた。
それからぎゅーっと抱き締められ、横に寝転んだキヨくんが腕枕をしながら私の頭を撫でる。


「キヨくん、明日もおにぎりとか持ってく?」
「うん。持ってく……バスで食べる」
「じゃあ、そろそろ明日に備えて寝ないと」
「…………(名前)ちゃん寝るの?もう俺とキスしたくないの?……明日から数日も離れ離れになるのに」


頬にキヨくんの大きな手が添えられて、啄むようなキスが何度も降り注ぐ。
……今までの経験から眠れるのはまだ先になりそう。



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