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守りたいハナシ

キッチンで夕ご飯の準備をしていたら、試合の準備を終えてリビングに戻って来たキヨくんが見えたから飲み物でもと、用意をしていたら……立ち止まってスマホを睨んでいた。
飲み物を用意していたこのたった数分で何があったの?
話し出すまで待った方がいいのか考えていたら、名前を呼ばれたから手ぶらでキヨくんの元へ。
近寄るとぐいっと腕を引かれて、勢いでソファーに座り込んだキヨくんの膝の上に向き合うように座っていた。
私の体をぎゅうぎゅうに抱き締め、肩に顔を埋めるキヨくんの頭をふんわりと撫でてみる。


「どうしたの、キヨくん」
「…………」


抱き締めたまま動かないキヨくんを抱き締め返したら、首筋に唇が当たってかぷりと噛まれた。
あやすように背中をポンポンと叩けば、身じろいだキヨくんの手が私の頭を自分の体に押し付けるように抱え込んだ。
少しだけ雰囲気が和らいだ気がする……良かった。
でも何だか私の方がキヨくんの体温と匂いに安心して甘えちゃう。
キヨくんも私で安心してくれていたら嬉しいんだけど、どうだろう。


「…………(名前)ちゃんは俺の」
「え……?うん……私はキヨくんのものだよ」
「……知ってる。俺だけの、(名前)ちゃんだ」


体を離したキヨくんに見つめられ、唇を塞がれた。
絡んでくる舌に応えようと必死になっていれば、キヨくんが次第に体重をかけてくるから体が後ろに傾いていく。
後ろに倒れる事はないと思うけれど傾いている恐怖心からキヨくんにぎゅうっとしがみついていたら、背中に回る腕がしっかりと私の体を支え、キスをしたまま抱き上げられた。
ソファーに押し倒され、さらに上から体重をかけてきたキヨくんに押し潰されそう。


「んっ……キヨくん……少しは落ち着いたの?」
「落ち着くどころか、興奮してる」
「そっ!そういう事じゃなくて!」
「そういうコト?それってどういう意味?俺に詳しく教えろよ」


ニヤニヤと笑いながら迫ってくるキヨくんを前に言い淀んでいれば、おでこに唇が落ちてきた。
それから、おでこ同士が合わさる。
少し顔を上げたら鼻先がくっついたけれど、キヨくんは離れるどころかさらにくっつけてきたから笑えば唇に触れ合うだけのキスが降り注いだ。
キヨくんからの止まらないキスを受け止めていたら、放置されていたスマホが音を立てた。
その瞬間、キヨくんの顔から笑みが消えて何かから守るように再び私の頭を抱え込んで自分の体に押し付けた。


「スマホ、鳴ってるよ」
「いい。見なくていいから」
「キヨくんがそう言うならいいんだけど……」


キヨくんをここまでさせる連絡相手が気にならない訳じゃないけれど、話したくなさそうだから何も聞けない。
……でも夕ご飯を作り終えたいからどうにかしたいとも思っている。
伝えれば、しばらくして起き上がったキヨくんに手を引かれキッチンに戻って来れた。
後ろから抱きつくキヨくんはここから動く気はないらしい。
食卓に出来上がった料理を並べていたら、スマホを少し触ったキヨくんがソファーにまた放置して食卓についた。
それから、向かいに座る私の左手を掬い上げ薬指で光っている指環を撫でる。


「(名前)ちゃんは俺が絶対に守るから」
「……何かあったの?」
「…………アイツらが…………チームのヤツらが(名前)ちゃんに会いたいって言ってきた」


苦虫を噛み潰したような表情で何を言われるのかと思ったら、伝えてきた内容に何て答えてあげるのが正しいのか分からなくて黙り込んでしまった。
そのまま黙っていたら立ち上がったキヨくんに抱き締められる。
……今日はいつもに増してキヨくんの腕の中にいる時間が多いなぁ。
なんて思いながら大人しくしていると屈んだキヨくんに頬を包まれ、目が合うように顔を持ち上げられた。
頬を包まれた時に当たったキヨくんの左手にはまる指環の感触にくすぐったさを感じる。


「……(名前)ちゃん、黙り込むくらい不安を感じてた……アイツら許さねぇ」
「え……!?ち、違う!違うよ!会えるなら会って挨拶くらいはって思ってるけど」
「は?俺がいんのに何で男に会いたいとか言うわけ?……会わせねぇけど」


私がキヨくんのチームメイトにご挨拶ができる日って来るのかなぁ。



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