09
同姓同士の方が話しやすいのではと思って言ってはみたが別の可能性に気づいて霜惺は顔をしかめた。
「やはりいらん。桜木の姫が聞いたのでは逆に彼女は心を閉じかねん」
それを聞いて龍作が苦笑混じりに否定した。
確かに舞姫ははっきりものを言う所はあるのだが、それは時と場合による。
「心配いりませんよ。舞は優しいです。見ず知らずの姫を傷つけるような物言いはしませんよ。ちょっとお転婆なだけで」
「・・・まあ、考えておくとしよう。所で、調べていたと言っていたが何か分かったことはあるか?」
「いえ・・・解決したと思い込んでいましたからね。ただ・・・舞が言うには全員側室の娘らしい」
「・・・ほぅ。全員ね」
霜惺は凄みを効かせた声を放った。
「それもさらに長女はおらず、二女や三女ばかりらしい」
さすが桜木の姫。
しっかり調べている。
これはなんだ?誰かが意図的にやっているとしか思えない。
そして理由が一向に分からない。
「俺が知ってるのはこのくらいですけど・・・」
「ふむ、桜木の姫に礼を言っておいてくれたまえ」
そう言ってぱちんと扇を閉じると霜惺は立ち上がった。
「え・・・師匠?」
「悪いが出掛けなくてはならなくなった。すまないがお前たちの手を借りたい。術者を探してくれ」
「分かった。ーーー青風」
「ここに」
龍作が名を呼ぶと彼ーーー青風は屋根の上から逆さに顔を除かせた。
「術者を探しに行くぞ」
「了解」
「師匠はこれからどちらへ?」
「件の姫の元へ」
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