堅苦しい話題はとりあえずまあここまでにしよう。
ここからは少し奇怪じみた話を繰り広げることとなる。
いわゆるファンタジーってヤツだな。

今から話す事柄は、そうそう遠くない過去の話だ。
どうやら竜の餓鬼が同じようなフレーズで三年前のことを誰かさんに話したらしいが、それよりもだいぶ近い。
そう、本当につい最近の一週間前のことだ。

そしてこの物語を語る中で重要な人物。
俺はもちろんのこと、ここでは俺の義妹である綴月(つづき)が登場する。
物語を綴るの綴に、俺と同じく衛星の月で綴月だ。ちなみに俺が名付けた。
だから元々のコイツの名前を俺は知らない。俺が名前をつけてやるまでアイツは名無しさんと呼ばれていたからな。
そしてこの名前は俺の後にも物語が続くという意味でもあったりする。我ながらなかなかいいネーミングセンスだ。
アイツは俺がまだ成人していなかった頃に萬鬼家へとやってきた。
そうだな、具体的に言うと確か俺が十八のとき、そしてアイツは六歳の時だ。
年月で言うと四年前。
最初は不気味な子供だと思っていたが、今では何故かすっかり懐かれてしまっている。いいものなのか悪いものなのか。
俺の感覚が間違っていなければ、綴月は至って普通のおしゃまな子供だし、中身もまあある程度は普通の女の子って感じだろう。
ただし萬鬼家に入ったからにはただのお嬢さんってワケでもない。
父親によるとどうやらアイツは俺に引けを取らない殺しのスペシャリストらしい。ただまだ目の前で人を殺しているのは見たことがないから俺からの評価はできないんだが。
まだまだあどけなさは残っているから、未熟っちゃあ未熟だろうし。

では、もう一人を紹介しておく前に、まずは軽く殺人鬼と殺し屋の違いをはっきりさせておこう。

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