―――――ああもう、また脱線してしまった。彼女の紹介をするだけなのに。
どうにかなりませんかね、この難癖。これでも結構困っているんですよ。
いらないことをぺらぺらと他人に話すなんて、どこにメリットがあるんでしょうか。
自分にもこれには腹が立ちますね。
これは恐らく母親に似たのでしょう、父親はどちらかというと寡黙だったので。
母の優しさが似ればよかったのですが、そこは父親の怪訝さが出ましたね。
僕はまるでどこかのダメ少年のように両親の欠点だけを引き継いだようです。
でも二人とも頭はとても良いので、僕にもその影響は上手い具合に出てくれました。
どうでもいいでしょうが、アスパラガスが嫌いなのは父親似です。兎にも角にも、僕がどうしようもなく捻くれた奴ってことは何となくでも自覚はしてるってことです。

さあて、最後は無理やりな締め括りでしたが、ようやく本題に入れますね。
皆様、大変長らくお待たせいたしました。
もう僕の雑談で聞く気が失せましたか? 恐れ入ります。
それでも今回彼方は大切な客ですから、耐えていただくことにしましょう。


過去といいましても、精々三年前の話です。僕が中学三年生、十五歳の時です。
これはとある、奇々怪々でありながら、至極人間臭い物語。
そして以前の僕を傷痕だらけにした、残酷で必然的な出来事。
それでは戻れない味をお楽しみください。


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