注目の的



あの面倒くさいの極みだったキャンプが終わってから少したって。
いよいよセイントファイトまでの日数が近づいてくると学園内が少し落ち着きがなくなる。

「だからさあ、勝つのは龍峰だって!」
「馬鹿かお前!
普通に考えて、エデンの圧勝だろ!」
「栄斗がパライストラを止めてなきゃ分かんなかったけどな」
「だけどよ、ホタルとかいう女聖闘士。
この前の試験で龍峰よりも早くついた上に、エデンといい勝負らしいぜ。」
「マジでか!?」

食堂で皆で食事をしていると周囲から抑えた声が、めっちゃくちゃ聞こえて居心地が悪い。
嫌でも聞こえるから、余計疲れる。
お願い何でこっちを見て畏怖を含んだ視線で見ないください。

「優勝するのはこの俺だ!
 そして、アテナに謁見してみせる!」

落ち着かない雰囲気の中でも変わらないのが流石光牙。
胸を張って応える姿は気楽そのものだった。

「気楽ね…。」
「何だよ皆、元気ないな。」
「皆の視線が恐ろしすぎて、テンションあがらない…」


こんな視線受けるのに慣れてないんですよ、
マジで、勘弁して下さい。


「セイントファイトがはじまれば、僕たちは敵同士なってしまうからね。」

・・・ああ、そうだね。
そこまで考えてなかった。


「複雑だよなァ。
 折角協力して予選突破したのによォ…。」
「そうね。
 順調に勝って行けばこの中の誰かと闘うことになるかもしれない。」
「まあ、勝負だし仕方ないよね」
「そうね。
 セイントファイトに優勝できるのは一人だけなんだから。
 ・・・あ。」

「ん?」

龍峰君の視線をおうと、
階段からあの少年がおりてくるところだった。

「あ、少年A。」
「何だその呼び方…オリオン座のエデンだよ。」

・・・そっか。
あんなに話しておいて、名前とか忘れていた。
もっとも向こうもあたしの名前なんて覚えていないだろう。


「セイントファイト予選、一位通過者…。
自他共に認める実力者。
大本命の優勝候補者。」
「ふぅーーーん。」


あんまそう言うの、興味ないなァ。
ていうか、どうでもいい。

…ん?


「光牙!?」

目を離したすきにエデンに話しかけに行く光牙。
アイツ面倒くさい性格そうだからあんたとは合わないよ!?

しばらく、はらはらしながらその様子を見守った。


「っ!」

話し終わったのかよく分かんないけど、
立ち去ろうとしたエデンを止めようとした光牙が倒れた。

アイツの手から出た、紫の電気のせいで!


「光牙!
 大丈夫!?光牙!」

倒れこんだ光牙にみんなで駆け寄る。


「アホ!
 勝手に話しかけに行くからだ!
 このボケ!」
「そんな事言ってるより、さっさと医務室に運ぼうぜ!」


エデンの奴!後でぶっ潰す!








back
141/31


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -