少年とあったよ!



ガス噴出地帯から、全力で逃げた。
おかげで、だいぶ疲れた…。

「この程度で疲れるなんて…やっぱあんまり
回復してないわ。」




上がった息を落ち着けつつどんどん前を進むと、前の方に人影が見えた。
誰かが前を歩いてる。
とりあえず近づいて話しかけてみるか!


「やほ!
 君も一人?」

出来るだけ、フレンドリーに接してみた。
なんか雰囲気が気難しそうだったし!

「………」

まるで聞こえなかったように振り向きもせずに歩いてく少年A。
…無視、ですか。

「聞いてますぅ―?
 もしかして耳聞こえないとか?
 五感不満足的な?」


ポジティブに考えよう!
てか、誰かに会えただけでも嬉しいし!


「ここら辺なんかうす暗くて薄気味悪くて気持ち悪いよねぇー。
 なんかこう、もっと明るくてもいいのにって感じがするよね!」
「……」


答えてくれないから一人でペラペラ話していく。
傍から見たら、ただの変人だなぁー。

「なんかさぁー、何でこんなことするんだろうって結構不思議になるんだよね。」

この授業を受けて本当に強くなれるのか、正直若干謎な気がする。
・・・別に内容が悪いとかそういう話ではなく、本当にこの授業を受けて実戦で闘えるのか?っていう疑問を持っているだけだ。

「だったら、やめればいいだろう。」


少年としても思うところがあったのか、ようやく話してくれた。
てか、聞こえてるし話せるんじゃん。

「話せるならもうちょっとはやくにこたえてくれてもいいじゃんか。
 結構一人で話してて悲しかったんだよ?」
「お前はここに遠足に来ているのか?」


随分と険のあるいいからだねぇ―。
そんなんじゃ、嫌われちゃうよ。


「気分的には、そんな感じかな?
 あたしは試験とかそういうの嫌いだし。
 前向きに考えないとやっていけないからさ。」
「さっきも言っただろう。
 だったら辞めればいいと。」
「あっさり言うなし。
 あたしはアテナに会わなきゃいけないわけがあるんだよぉーだ。」

それに負けるの嫌いだし。
元来負けず嫌いなんだ、あたしは。


「ふん。」
「あ、今鼻で笑ったろ!?」


馬鹿にしたように鼻で笑った少年に、思わずみつく。
しかしそんなことを歯牙にもかけないとでも言うように少年はどんどんと歩を進めた。


「ついてくるな」
「別についてきてません―!
 あたしの進行方向がこっちなの!
 そっちがついてこないでよ!」

というかここ一本道だから嫌でも一緒だろうが!!!!

「お前がついてきてるんだろう?」
「そっちがっ!」

しばらく、そんな無駄な言い争いを続けながら歩く。
なんか、不毛だなって自分で思った。

「・・・・お前と話してると、馬鹿が移りそうになるな」

ため息とともにそんな悪意しか感じないセリフ吐き出された。
結構傷つくし普通に腹が立つ!


「お黙り。
 てか、ついてくるなっていってんじゃん。」
「まだ続ける気か、お前は」
「あ、止めるの?」

意外。
なんか折れそうなタイプには見えなかったし。


「不毛な争いには飽きた」
「奇遇だね。
 あたしも飽きてきたところ。」


話しているうちにどうして始まったんだろうと考え始めちゃった。
うん、それ考えたらもうおしまいだな。


「ついてくるのは勝手だが、どんなことがっても僕は助けない。」
「…それは、ついてこいっていってる訳?」

なんか意外すぎる申し出だね。
絶対そう言うの言ってくるタイプには見えなかったのに…。


「勘違いするな。
 お前が勝手に僕のあとについてきてるだけだろう。」
「ムカつく―ーーッ!!!」


なんでそんなに偉そうなんだぁ――ッ!?


ーーーー


襲い掛かる猛獣たちを返り討ちにし、深い谷を超えて、崖を上り…どんどんと難所を超える。


「このルート結構難易度高そうだね。」


小宇宙なしじゃ通れないような道が何回も出てくる
これだと、並みの聖闘士じゃ途中でリタイアしちゃいそうだね。

「もうギブアップか?」
「んなわけないでしょうが。
 あたしをなめるなよ!?」

伊達に何年も生きて来てないんだぞ。
この程度のトラブルで値を上げるものか。

「見た目が弱そうだからすぐにギブアップするかと思った。」
「黙らっしゃいッ!
 ・・・あ」


あたしと少年の足が止まる。
道の先にあったのは分かれ道。
右と左かぁ。


「・・・・」


無言で、右の道を選んだ少年。
あたしはその逆の道を選んだ。


「…もう、ついてこないのか?」

振り返らずに少年が聞いてきた
以外だな、と思いつつ頷いた。

「うん。
 この試験始まる前に一緒に行こうって何度か誘われたんだけど、自分の力試したいっていって断ったんだよ。
 だから此処で君と同じ道に言ったらそれが嘘になるからね。
 だから逆の道を行かせてもらうよ。」

当初の目的だった自分の力を試せてない。
その状態でクリアしてもあまり意味はないだろう。


「…ふん。」
「それじゃあ、デルタ山の頂上で会おうね!」

去ってく少年の背中に向かって叫んだけど、普通に無視された。
なんか、無愛想っていうかクールな子だなぁ。

「…そんなことより、あたしはあたしの道を行くか。」

ちゃんと、山頂までたどり着けるように頑張ろう!







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