伝説の



少年と取り留めない話をしてしばらくたっただろうか、
横にしていた光牙が小さく身じろぎをした。


「う・・・」
「よう、目が覚めたか?」
「だいじょうぶ?光牙。」

すっかり夜になってしまった頃、寝ぼすけ光牙はやっと起きた。
大層な、間抜け面。
落書きでもしてればよかったな。


「お前…」
「ちょっと待ってろよ、今コーヒー入れてやるからな。」
「安心してもいいよ。
 こいつは敵じゃないみたいだし。」

少年は、手に持った木の先端を発火させた。
カルディアと同じ能力かな?


「!
 それ、なんなんだ?手品か?」
「あ、あたしも凄い気になる!」

小宇宙使ってんのは分かるけど、原理までは分かんないから知りたい!


「オイオイ、本気で言ってんのか?
 お前ら、本当に修行してたのかよ。」
「し、してたよ。一応…。」
「こいつはともかく、あたしは修行してたからね!」
「おい!」


だって事実だし!
体術も、技も、光牙よりやってたもの!
困難だって一応黄金の弟子だったんだからな!


「わかったわかった。
 教えてやるよ。」

…微妙に上からなのが気になったけど、
一応教えをこう身なので何も言わないでおいた。


「お前ら、さすがに小宇宙は知ってるよな?」
「もちろん!」
「じゃなきゃ聖闘士なんてやってないから。」
「結構!
 小宇宙には属性がある。」



・・・・え?
属性?
初耳な情報に固まるが少年は気が付かず、話をつづける。


「火・風・雷・地・水・闇・光の七種類があり、
 俺ら聖闘士は必ずいずれかの力を身に宿しているんだ。」
「へえ…」

200年たったうちに、そんなことが出来るようになってたんだ。
時代の流れって、怖いねー。

「じゃあ、俺にも火が出せるようになるのか?」
「あたしにも出せるかな!?」

出せるなら、カルディアと勝負したい!
鬼火と業火だと勝負にならないんだもん!


「そりゃ、お前らの属性次第だろ。」
「そっか…」
「残念だねェ」


そりゃそうか。
話を聞いている限り、あたしは火か闇な気がするなァ。
積尸気の技って、どっちの部類なんだろう?

「じゃあ、どうやったらそれが出せるようになるんだ?」
「どうって・・・俺もいうほど自在に操れるわけじゃないからなぁ。」

最後の方はぼそぼそ小さくしゃべる少年に光牙が首をかしげる。

「?
 なんか言ったか?」
「いっ、いやあ、こっちの話し!」


もちろんあたしには思いっきり聞こえちゃったけど、大丈夫かなこの子。
さっきからずっとあたしらの様子うかがってるやつのことにも気が付いてないみたいだし…。
今言うと、あっちにも勘づかれるから何も言わないでおくけど。

先先心配な二人だなァ…。

なんて頬杖突きながら二人を見つめていると、話題は属性の出し方の話になった。
立ち上がった少年が、構えを作る。

「そうだな…。
まず体中の隅々にまで意識を集中させる。
細胞の一つ一つまで意識をいきわたらせたら」


彼の体中の小宇宙が、腕に集中する。
成程ね、そう言う感じですか。



「一気に爆発させる!!」


その言葉とともに、パンチを繰り出すと彼の拳から火が出てきた。
なんか、すごい!!



「こんな感じかな?」

ドヤ顔をする少年にあたしは素直に感動した。

「いやぁー、最近の聖闘士はすごいねえ!
 便利じゃんか、こ―ゆーの!
 あたしの時代にもあったらなあ!」
「「?」」
「ぁ゛!いや、なんでもないよ。
こっちの話し!!」


思わず、口が滑ってしまったよ!!
やっちまったぜ!


「まあいいけどよ…。
 それよりあんた、すげえなあ。」
「うん、見直したよ」

あたしたちが純粋に褒めると、少年は照れたように笑った。

「あんたじゃねえよ。
 俺は蒼摩!
 仔獅子座の蒼摩だ。」

「俺は光牙」
「あたしはホタルだよ。」

蒼摩は仔獅子座かぁ…。
獅子って聞くと、レグルスの事を思い出すねえ。


「守護星座は何なんだ?」
「守護星座…」
「そうだぜ。
 俺が仔獅子座であるように、お前にだってあるだろ?」
「そうだよ。
 あたしは南冠座を守護星座としてるように、光牙にもあるんだよ」

まさかと思うけど、自分の守護星座把握してないわけないよね?
なんてじと目で見ると光牙が驚いたようなにあたしを見た。

「って、ホタルも聖闘士だったのか!?」
「言ってなかったっけ?
 そうだよ。光牙なんかよりも年数も場数も踏んだベテランだよ」


伊達に聖戦を戦ったわけじゃないしね。
…まあ、そこらへんはめんどくさいから言わないけど。


「ま、そんなことよりも早くいいなよ。
 コーヒー冷めちゃうよ?」
「・・・ペガサスだ。」

あ、よかった。
ちゃんと覚えてたんだね。

「ぺ、ペガサスだって!?」
「「?」」


なぜか蒼摩に凄い驚かれた。
何故?

「そ、それじゃおまえ!
 あの伝説の聖闘士・ペガサスの星矢となんか関係があるのか!?」
「星矢を知っているのか?」

星矢?誰それ?

「あたしは知らないよ、その人」
「知らないのかよ!?」

テンマなら知ってるけど、セーヤって人は知らないなァ。
多分、前聖戦のペガサスの聖闘士だったんだろうな。
じゃあ、テンマの後任にあたる訳かぁ。

「まあ、俺も直接会ったことはないけど、聖闘士だったら名前くらいは誰だって知ってるだろう。
確か今は行方不明だって聞いてるけど…。」


行方不明、ねえ?
そんなもののオチは大体決まってる。
死んでるけど、その証拠である死体が見つからないだけ。
少なくとも、あたしが生きてた時代はそうだった。

今はどうかなんて、知らないけどね。

なんて考えていると、隣に座っていた光牙が突然噴出した。

ブフゥウウウ!!


何事!?

「ぅわぁ!?」
「何だこれっ!!!
 苦ッッ!!」
「そりゃコーヒーだからな。」

こんの、お子ちゃま舌が!!!!

「だからって噴き出すんじゃないし!!
 ああーー!?服についたぁぁ!!
 きったねええええ!!!」

なんでお前あたしの方見て吹きだすんだよ!!!
ざけんじゃねえよ!お前!!!
てか、コーヒー飲んだこと無かったの!?
どんな生活送ってたんだこの野郎!






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