01



「やっぱギリシャの町は綺麗だよなー。」






星矢が大きく伸びをしながら町を歩く。
その隣をほほ笑みながら歩く瞬。







「今日は夕方に聖域に行けばいいから、ゆっくり街を探検しようよ。」




「だな。」



「たまにはいいだろう。」



「ああ。」






瞬の提案に、氷河、紫龍、一輝が頷いた。








「よっしゃ!じゃあなんか食おうぜ!」




「まだ昼前だろう…。」








早速腹をすかせた星矢に紫龍が冷静に突っ込みを入れた。
それをみて笑っていた瞬の視線が、とまった。







「あれ…?」



「どうかしたのか?」




「いや、あの女の人…。」






瞬の視線の方向には、黒いマントを羽織い、
古風な純白のロングドレスに身を包んだ女性が歩いていた。








「スッゲえ美人…。」



「あそこまで美しい女性も珍しいな…。」










思わず見惚れる星矢達。
しかし、瞬だけが首を傾げていた。









「どうしたんだ、瞬。」




「あの女を知っているのか?」




「いや、そういう訳じゃないんだけど…。
なんか感じる小宇宙が普通じゃないっていうか…。」







そういったとき、その女性がこちらを向いた。
深い青の眼を持つその女性は、ゆるりと微笑んだ。



長い漆黒の髪は光輝いているように見え、
それと真逆な白い肌は陶器のように滑らかで、シミ一つなかった。
形のいい薄桃色の唇が小さく口角を上げて微笑んでいた。



優しそうな女性…。



それが彼女に対する第一印象だった。








「アフロディーテ並みの美人なんて久しぶりに見るぜ…。」





「まるで、女神か天女の様だな…。」







女性は目礼して、自分たちとは反対方向へと進んでいった。
彼女の周りには、見えるはずの無い黄金の光に包まれているような気がした。








「・・・・・。」





星矢達があの女性について話してる間、瞬は彼女の進んでいった方向を見つめた。









「・・・・やっぱり、気になる。」






険しい表情で、そう呟いた瞬。
それが聞こえた氷河が怪訝そうに瞬を見た。






「瞬…?」





「ごめん!僕少しあの人に話しかけてみる!」





「あ、おい!瞬!?」






瞬は、星矢達を置いて、その女性が向かった方向へと走って行った。






唖然とする星矢達。
しかし、我に帰ると慌てて瞬のあとを追った。










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bkm
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