「やっぱギリシャの町は綺麗だよなー。」
星矢が大きく伸びをしながら町を歩く。
その隣をほほ笑みながら歩く瞬。
「今日は夕方に聖域に行けばいいから、ゆっくり街を探検しようよ。」
「だな。」
「たまにはいいだろう。」
「ああ。」
瞬の提案に、氷河、紫龍、一輝が頷いた。
「よっしゃ!じゃあなんか食おうぜ!」
「まだ昼前だろう…。」
早速腹をすかせた星矢に紫龍が冷静に突っ込みを入れた。
それをみて笑っていた瞬の視線が、とまった。
「あれ…?」
「どうかしたのか?」
「いや、あの女の人…。」
瞬の視線の方向には、黒いマントを羽織い、
古風な純白のロングドレスに身を包んだ女性が歩いていた。
「スッゲえ美人…。」
「あそこまで美しい女性も珍しいな…。」
思わず見惚れる星矢達。
しかし、瞬だけが首を傾げていた。
「どうしたんだ、瞬。」
「あの女を知っているのか?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど…。
なんか感じる小宇宙が普通じゃないっていうか…。」
そういったとき、その女性がこちらを向いた。
深い青の眼を持つその女性は、ゆるりと微笑んだ。
長い漆黒の髪は光輝いているように見え、
それと真逆な白い肌は陶器のように滑らかで、シミ一つなかった。
形のいい薄桃色の唇が小さく口角を上げて微笑んでいた。
優しそうな女性…。
それが彼女に対する第一印象だった。
「アフロディーテ並みの美人なんて久しぶりに見るぜ…。」
「まるで、女神か天女の様だな…。」
女性は目礼して、自分たちとは反対方向へと進んでいった。
彼女の周りには、見えるはずの無い黄金の光に包まれているような気がした。
「・・・・・。」
星矢達があの女性について話してる間、瞬は彼女の進んでいった方向を見つめた。
「・・・・やっぱり、気になる。」
険しい表情で、そう呟いた瞬。
それが聞こえた氷河が怪訝そうに瞬を見た。
「瞬…?」
「ごめん!僕少しあの人に話しかけてみる!」
「あ、おい!瞬!?」
瞬は、星矢達を置いて、その女性が向かった方向へと走って行った。
唖然とする星矢達。
しかし、我に帰ると慌てて瞬のあとを追った。
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