「お主にペルセフォネ以外の子供がいるのは知っているが…。
人の子にもいたのか?
いや、お主の子だとしたら半神であろう。
どういうことだ?」
『実の娘とは言ってないでしょう。
サナエは養子。
実の娘のように慈しんでやまない娘です。』
「…初耳だぞ!?
そのようなこと!
神が人を養子にしようとは…見損なったぞ!デメテル!」
ハーデスはそう叫ぶと、鏡の前から走り去った。
脱兎のようなその姿を笑いながらも、デメテルは一抹の不安を覚えた。
『サナエに何か危害を加えかねませんね…。
心配ですわ…。』
――
「…何だってあたしいきなり追い出されたんだろ。
まあ、いいんだけどさ・・・。」
朝、いきなり双子の大臣がやってきたと思ったら「出てけ」っていわれて城追い出されたよ!!!!
なんだっていきなり!?
「しかも・・・森の中で迷子とかシャレにならないし。」
あはははー。
マジ笑うしかない!!!!
「そこの人。
お困りですか?」
「おお!?」
振り向くとそこには狩人姿のサーシャが立ってた。
って!!!マジかわいい!!!
「サーシャぁああ!!!!
マジかわいい!普段の白いドレスも似合うけど、狩人姿もくそカワ!!!」
「本当に?
ありがとう!
似合うか心配だったんだ!」
城にいたときにメッチャ仲好かったサーシャ!
良く二人で話してたりしたけど…
まさかアテナを身に宿す女神さまだって聞いたときには飛び退くくらい驚いたっていうのは記憶に新しいぜ!
「それより、こんな森の中でどうしたの?」
「あ、なんかタナトスがサナエを森に追い立てて来いって。
“あのアホ娘のことだから森の中で迷ったらすぐ野垂死ぬだろう”って。」
「タナトスのクソ上司め!
誰があほ娘じゃ!!!
って…サーシャまさかあたしを追い立てに来たの?」
マ、まさかそのためにそんなフル装備!?
ちょ!あたし弓とか矢の以前にサトウキビにも負ける自信あるんだけど!?
「まさか!
私は貴女を助けに来たの。」
「え…?
本当に?」
「ええ。
でも、表立って助けることはできないの…。
だから、サナエ。
良く聞いてね。」
サーシャはついっと指を森の奥の方へさすと真剣な目であたしを見た。
「この森の奥の奥に、神殿があるの。
アテナの神殿っていうんだけど…
そこにいけば聖闘士が貴女のことを守ってくれるはずだよ。」
「聖闘士って…アテナの?」
「うん。
皆とってもいい人だから、サナエのことかくまってくれるよ!」
「マジで!?
サーシャ…ありがとう!
早速行ってくるね!」
「うん!
サナエ!気を付けてね!」
サーシャの天使の…いやマジで天使の笑顔に送り出されてあたしは意気揚々と森の奥に入って行った。
そしてその数分後に盛大に迷うなんてそん時はわかってなかった。
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