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柔らかな布地に包まれ心地よく眠る。窓から太陽の日差しが差し込み安らかに眠らせる。

薬品の匂いがしていたはずなのに、ふと微かに香水の香りがした。

彼女は眠りからゆっくりと目を覚ますと人の顔がとても近くにあった事に気付く。
その人は瞳を閉じて彼女の唇に触れた。

戸惑っている彼女を見て微笑み、その人は身を翻して直ぐ様去っていった。


「なっ……!?」


勢いよく起き上がって出入口を見るが既にあの人はいない。入れ替えで保健の先生が入ってきた。


「あら、もう大丈夫なの里夜ちゃん?」

「は、はい!大分良くなりました。‥‥さっき誰か出ていきませんでした?」


先生は椅子に座り何かを書き始めた。里夜は布団を畳んでブレザーを羽織り、靴を履く。

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