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「セラファ様、朝ですよお目覚めになってください」


大きなキングベッドに眠る少女、セラファ・ソネノティドを、燕尾服を着た執事が揺すぶって起こそうとする。

しかし、彼女はまだ夢の中。ぐっすりと眠っている。

執事はふうと息を吐いて、セラファのかけ布団を剥がす。それでも起きないセラファに、執事は顔を近付けた。


「セラファ様、早く起きないと襲いますよ」

「バカ」


耳元で囁かれて、セラファはやっと目を覚ました。眠たそうな目をこすりながら起き上がって、不機嫌そうに執事の名を呼んだ。


「レイン・ロルジュ、いい加減にしなさい。貴方は私の執事なんですから、少しはきちんと弁えなさい」

「失礼致しました」


レインは深々と頭を下げた。いつもの冷静な口調とクールな微笑を見せているので、全く反省の色が見えていない。

何でこんな扱いづらい執事を選んでしまったのかしらと思いながら、ベッドを降りる。レインは先程淹れた紅茶をセラファに差し出した。

セラファは黙って紅茶を受け取り、喉に流し込む。目覚めをよくするため、寝起きには温かい飲み物を取るようにしている。

少しは脳が起きてきたセラファは着替えをし始めた。レインはティーポットとティーカップを持って部屋を出て行く。

レインが出て行った扉を見つめて、ぽつりと呟きを漏らす。


「こんな早く起きないといけないなんて、鬱だわ」

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