2/3 * 「昨日彼女がスカートをはいて来てくれてー」 「今度彼女の誕生日に何あげよっかな」 「俺、彼女と頼を戻したんだよね」 何だよ。どいつもこいつも彼女彼女うっせーんだよ。どうせすぐ飽きてまた違う女と付き合うんだろ。 自慢したって敵増やすだけかもよ。それかそんなにカワイくない女だとか。そんなにイチャつきたいなら場所を考えろよ。 彼女いない歴が自分の年齢で何が悪い。いつも女のご機嫌取りに気を配るとか面倒だし。 一生涯一人で生きている男なんて今時珍しくないから生きてやるよ!目指せエリートサラリーマン! 「裕吾ー彼女っていいぞ。あ、お前には無縁の話だったか?」 「けど夜はAV女優が恋人だもんなぁ?」 うっせーうっせー!その見下された態度がムカつく。下心見え見えなお前達にそんなこと言われたくないね! 何がAV女優だ。そう言うお前が夜の恋人なんだろ。 見栄を張ってもみっともないだけだ。印象がた落ちだね。 裕吾はフッと鼻で笑って足を組み、カップに入っているコーヒーを喉に流し込んだ。 「……苦」 コーヒーにシロップを入れるのを忘れていたので、あまりの苦さに眉間に皺を寄せた。口の中に残る独特の苦さに何だか溜め息が出る。 もうコーヒーを飲むのは辞めて受け皿に置くと、机の上に広げてあるノートとシャーペンに目を移す。 裕吾はここで勉強しようと来たのだが、友達との会話を思い出してやる気を無くしてしまった。 ここは学校の喫茶店。言うなれば食堂。その割には洒落ていてテーブルは丸く、椅子はスタイリッシュ。 今の時間帯はフリーになっていて学年は関係なしで利用することが出来る。こういう所を見ると、さすが私立と思う。 場所を確保出来た所までは良かったが、その後がまずかった。周りは殆どカップルがいる。 それが原因で友達との会話を思い出したというのもある。 再びノートとにらめっこするが三秒で負けてしまった。 裕吾はそこら辺いるような普通の高校生。特に目立つ特徴もなく、強いて言うなら少し童顔な所ぐらいだ。 そんな典型的な少年が全く持って恋愛に興味ないということはない。寧ろ思春期真っ盛りである。 コーヒーにシロップを入れようと手を伸ばしたら、服の袖にノートが引っかかってペンケースが床に盛大な音を立てて落ちた。 [しおりを挟む] [mokuji] |