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「‥‥前隣に住んでいたあの幸太郎かっ!?」

「違うわっ!!」


バシッと郁の頭を思いっきり叩く。郁は一瞬ぽかーんとして再び意識を取り戻すと彼に詰め寄った。


「このツッコミ方……。お前は司か!?」


ひゅっと茶髪の髪を引っ張ると簡単に取れた。


「キャー!! ヅラを取るなァー!!」


元々の長い黒髪が肩へ落ちてくる。司をよく見てみれば女の子らしい顔立ちをしていた。すぐ女だと気付かなかったのは前髪で顔を隠していたからだろう。


「何で男装してるんだよ」


茶髪のヅラを司へ返す。司は自分の髪を整えながら口を開いた。


「だって今日4月1日じゃん。それで色々遊ぼうかなーって」

「全く。俺と同じこと考えているじゃねぇか。‥‥んで騙そうとした相手が互いに化けてる奴だった訳だ。
はははははっ、バカだな俺ら!!」

「あんたと一緒にしないでよ。でも、馬鹿だね」


そして二人は気が済むまで笑い合っていた。




後から聞いた噂では司と郁の変装した姿に惚れた奴がいた‥‥‥‥という。

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