3/3 「‥‥前隣に住んでいたあの幸太郎かっ!?」 「違うわっ!!」 バシッと郁の頭を思いっきり叩く。郁は一瞬ぽかーんとして再び意識を取り戻すと彼に詰め寄った。 「このツッコミ方……。お前は司か!?」 ひゅっと茶髪の髪を引っ張ると簡単に取れた。 「キャー!! ヅラを取るなァー!!」 元々の長い黒髪が肩へ落ちてくる。司をよく見てみれば女の子らしい顔立ちをしていた。すぐ女だと気付かなかったのは前髪で顔を隠していたからだろう。 「何で男装してるんだよ」 茶髪のヅラを司へ返す。司は自分の髪を整えながら口を開いた。 「だって今日4月1日じゃん。それで色々遊ぼうかなーって」 「全く。俺と同じこと考えているじゃねぇか。‥‥んで騙そうとした相手が互いに化けてる奴だった訳だ。 はははははっ、バカだな俺ら!!」 「あんたと一緒にしないでよ。でも、馬鹿だね」 そして二人は気が済むまで笑い合っていた。 後から聞いた噂では司と郁の変装した姿に惚れた奴がいた‥‥‥‥という。 [しおりを挟む] [mokuji] |