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さっき梅の肩を掴んだ時、異常に女子にしてはしっかりしていたのだ。身長も彼より少し高い。
そこで彼は行動に移った。


「‥‥やっぱり」


彼は梅の胸を触って頷いた。反応に遅れた梅は慌てて彼から逃げる。


「な、何するんですか!?」

「あんた“男”だろ?変装するならもうちょっと女を勉強した方がいいんじゃねぇの?」


ちっと梅は舌打ちをした。はぁーあと言ってからカツラを取る。本当の黒い短髪が姿を現した。


「何で分かったんだよ。結構化けてると思ったのによぉ。つまんねーの」


先程までの“梅”の声ではなく誰が聞いても男だと思う声で言った。カツラを取っても化粧や服装はそのままなので見た目は女に見える。
彼は女装した男を見て苦笑し、答えた。


「郁[カオル]の顔は中性的だしな。始めはホントに女だと思った」


瞬間、沈黙が出来た。今度は女装した男が彼を不審に思った。


「お前何で俺の名前知ってるんだ…? まさか……」

(ヤバイ)


郁は彼に一歩一歩迫ってくる。彼の額から日冷や汗がダラダラと流れていく。目は郁の方を見ないで泳いでいる。

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