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ふっと教師を探してよく見てみると、黒髪のよくいそうな教、いやセラファがよく知っている人物がそこに立っていた。

黒髪で黒い瞳をしているようだが、正真正銘執事のレインだった。見惚れている女子生徒がちらほらいる。

セラファは片眉を上げて心に怒りを覚えた。手に力が入り、小刻みにラケットが揺れる。

レインは皆の様子を見ていたが、セラファの視線に気が付いた。目が合うと、営業スマイルをしてきた。

ずかずかとはしたなくも大股歩き、レインの前で立ち止まる。ラケットを彼の首元に当てて低く言い放つ。


「ここに来るなとあれだけ言ったでしょ。どうして貴方は私の言ったことを守れないの?」

「セラファ様をお護りするのが私の役目ですから」

「答えになってないわ!」


ラケットで首を攻撃しようとしたが、呆気なくかわされた。
先程から皆の視線が痛いほど感じる。いけない、レインは変装していても目立つ存在だ。さっさと帰らせてしまおう。

いつも持ち歩いている麻酔銃を取り出して、素早くレインの背後へ回る。狙いを定めて、彼に撃つ。


「曽根さん、ラケット落としましたよ」


レインはラケットを拾う素振りをして、麻酔銃を軽やかに避けた。撃った麻酔はそのまま壁に刺さる。隙をついてレインが足払いをしてセラファの体勢を崩すと、即座に彼女を抱き上げた。


「すみませんが、曽根さんが体調不良みたいなので保健室へ連れていきます。皆さんは打ち合いを続けていて下さい」

『はい!』


元気が良い返事。と感心している場合ではない!

レインにお姫様抱っこをされて羨ましがっている女子が、多数こちらを見ている。人前でこんなことをされるのは、セラファでも恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。


「降ろしなさい!貴方はいつも私の勉強の邪魔をする!」


ばたばたと暴れているのに、レインは涼しそうな表情で体育館を出ていく。連れてこられた場所は保健室ではなく中庭で、ベンチの上にゆっくりと降ろされた。

セラファは口を尖らせてぷいっと横を向く。そんな彼女を見て、くすりと笑う。彼女の機嫌がますます悪くなる。


「どうせ貴方のことだから、私の後ろをつけていたのでしょう。そして、この学校へ転勤もしてきたのでしょう?」

「はい」


即答に返事を述べて、いつもの微笑みを見せる。セラファは大きく溜め息をついて、つくづく勝手な執事だわと思った。





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