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セラファは教室へ入ると、自分の席に鞄をかけて机の中に教科書やノートを入れていく。一時間目は体育なので、ジャージを机の近くに持ってきておいた。

チャイムが鳴って、生徒たちが慌ただしく席に座る。担任教員も入ってきて、出欠表をつけていた。そうして朝のSTが終わり、更衣室へ移動する。


「瀬良ちゃん。この学校はもう慣れた?」


クラスメイトの一人がセラファに話しかける。セラファは微笑んでその質問に答えた。


「ええ。それなりに日本の学校って楽しいわ」

「ん?日本の学校?瀬良ちゃんって日本人じゃないの?」

「あ、え、そ、そうっ。私、日本人なのに何言っちゃっているのかしらね!」


その時、物陰から何か気配を感じた。セラファは真剣な表情で辺りを見渡す。いざとなれば、護身用ナイフで戦闘しなければならない。

セラファは様々な場所へ訪れ、銃を撃てたり、時には社交ダンスを踊ったりする。世の中に存在する“様々な事柄”をやり遂げるため、こうして世界中を飛び回っている。

中には危険区域に足を踏み入れたので、誰かに狙われていることもしばしばあった。身元がバレないようにしているのは、そのようなことにならないようにと配慮したからだ。

不安を抱きつつも、友人と更衣室へ入りジャージに着替え始めた。


「ラケットの持ち方はこうやって人と握手するように‥‥」


教師からバドミントンの基礎を聞きながら、注意深く周りを見る。広い体育館には、セラファのクラスしかいない。先程感じた気配は消えていた。

練習としてシャトルを軽く打つ。バドミントンと言うものは結構簡単なものねと思っていると、打ち合いをしている相手の子が話しかけてきた。


「ねぇ瀬良さん、あの体育の先生カッコよくない?」

「え?」

「いつもの先生が出張だから臨時の先生が来たらしいんだけど、めっちゃカッコイイの!」

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