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着替えを済ましたセラファは、鞄を持って部屋を出て行く。廊下を歩いていると、レインが向かい側からやってきた。レインは立ち止まってセラファを促す。


「朝食の支度ができましたので、ダイニングルームへお越し下さい」

「分かったわ」

「鞄をお持ちします」


セラファが持っていた鞄をレインが持つ。セラファはすたすたと歩き出して、レインの後についていく。

扉を開けてもらい、ダイニングルームに入る。席に着いて早速朝食を取り始めた。隣にレインが立って、今日の予定を言い始める。

一時間目は体育。内容はバドミントン。二時間目は数学。ベクトルをやるそうだ。三時間目は社会、四時間目は美術、五時間目は国語。

セラファは現在、日本の学校に通っている。高校と言う所は、どういう所なのかを知るためにこうして毎日通っている。

しかし、日本の学校の授業はとてもつまらない。高校に通う日本の生徒は、何も文句を言わず、よく毎時間授業を受けられるなと思った。


「レイン。今度は学校の中までついて来ないでね」

「ですが、私はセラファ様をお護りするのが」

「分かったわね?」

「……はい」


今日の予定手帳を閉じて、レインは命令に従い返事をした。食事を済ませたセラファは、口元をナフキンで拭いて立ち上がる。
レインが鞄を持ち、セラファについていく。彼女は歩きながら彼に尋ねた。


「私の名前は曽根瀬良よね?」

「ええそうです」

「迎えはいらないわ。私の正体がバレる可能性があるから。…そう、貴方が来ると身元がバレそうになるのよ!

せめて、私みたいに髪を黒く染めて瞳を黒くしてから…って、絶対に学校へ来ちゃ駄目よ。これは命令ですからね」


玄関まで来ると足を止めて振り返った。そして、レインから学生鞄を受け取ると扉を開けて外へ出て行った。

屋敷に残った一人の執事は、口元にかすかな微笑みを見せて、セラファの背中越しに言う。


「行ってらっしゃいませ、セラファ様」

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