12/14 「ただいま」 「渚、丁度よい時に帰ってきたな」 なぎちゃんのお父さんが腕を組んで、玄関に立っていた。表情は険しい。見るからに頑固そうな顔をしている。なぎちゃんは黙ってお父さんを見ている。 「女の子を守ったそうだな?あれほど、女の子とは関わるなと言ったはずだが」 「‥‥‥‥‥‥」 「今回もいつも通り、転校手続きを」 「待って下さい!」 なぎちゃんの後ろに隠れていた私は、前へ飛び出した。なぎちゃんのお父さんはびっくりしたようだった。 まさか、なぎちゃんが女の子を家に連れてくるとは、思いも寄らなかっただろう。 「これ以上、なぎちゃんの自由を奪わないでください!誰とも仲良くできないなんて、悲しすぎます!なぎちゃんだって、こんなのはもう嫌だと思ってるんです!」 固く拳を握りながら、目の前にいるなぎちゃんのお父さんに強く訴えた。なぎちゃんのお父さんはしばらく私を無言で見つめて後、口を開いた。 「君は……あの千代ちゃんか?」 きょとんとする。 今までの厳しい口調が、いきなり柔らかくなったからだ。なぎちゃんもその変化に気付いて、驚いている。 「は、はい。お久しぶりです」 [しおりを挟む] [mokuji] |