11/14 同じことを考えていたんだなとなぎちゃんは笑った。そうだねと私もつられて笑った。 なぎちゃんの腕の中はとても温かくて、頬を寄せた。幼い頃は私の方がなぎちゃんを包み込めれる大きさだったのに、いつの間にか逆の立場だ。 「千代」 顎を掴まれて上を向かされると、唇を塞がれた。全てを包み込むようなキスに、私は身を委ねた。 「──好きだよ、愛してる。…これが、最後だとしても」 「なぎ、ちゃん?」 なぎちゃんは微笑む。どこか寂しそうに。私は不安な気持ちでなぎちゃんの顔を覗き込んだ。 「きっと今頃、僕の転校手続きが進められてる。今度は……もう逢えないかもしれない」 「そんな!やっとなぎちゃんに逢えたのに!──私、なぎちゃんのお父さんに説得する!」 「無駄だよ。僕の父が頑固なのは、千代も知ってるだろう?」 「そんなの、やってみなきゃ分からないよ!」 私が原因で、転校なんてさせたくない。幼い頃になぎちゃんが引越したのも、私が原因だったら、尚更。 人と仲良くできないなんて、悲しい。なぎちゃんだって、こんなことをしたくないって思ってる。 どんなに頑固なお父さんでも、何とかして転校をやめさせてもらうんだ! [しおりを挟む] [mokuji] |