9/14 「大人しくすれば、優しくしてやるよ」 「やだ、やめてよっ!何でこんなことするの!?」 「何で?ハハッ。それはな……桐生が苦しむ顔が見たいからだよ」 私のブラウスのボタンを一つ一つ外していく。下着が露になると、鎖骨に口付け、胸元をまさぐり始める。その動きは、気持ち悪くて仕方ない。 「どうして…」 「‥‥アイツがこの学校に来る前は、俺はそれなりに充実した毎日を送っていた。アイツが来てから──俺の喜びを奪った。 皆から頼られる人気者は、俺だけでいいんだよ!何で、誰とも仲良くできないような奴が俺の上に立つんだ! だから、俺は、アイツに失恋した女を慰めてやっているのさ。優しいアイツは苦しそうだったよ」 くっくっくっと喉を鳴らして笑う。今の幸弘くんは優しそうな彼とは、全くもって別人だ。 これが彼の本性なのか、それともなぎちゃんの所為でこうなってしまったのか、私には分からなかった。 「どうやら桐生はお前が好きみたいだからな」 「違うよ!なぎちゃんは私のことなんて、何とも思ってない!」 「へぇ?」 面白そうに眉を動かして、太股を撫でた。再び、不快感が背中を走る。私が助けを求めて叫ぼうとした時──勢いよく教室の扉が開いた。 [しおりを挟む] [mokuji] |