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「今頃になって何でそんなこと言うの!なぎちゃんは…なぎちゃんは私のこと、忘れたんじゃないの!?」


目に涙を溜めながら、声を荒げた。なぎちゃんは困ったようにして、目を伏せた。


「……忘れてないよ」


小さく呟く声。その声は、あまりにも小さすぎて私には届かなかった。


「僕は、──加賀さんが知っているその人ではないと思うよ。でも、クラスメイトとして忠告する。松下には近付くな」


なぎちゃんは泣いている私にハンカチを差し出したけれど、私はその手を振り払った。ハンカチが宙を舞い、風に流されて芝生の上に静かに落ちた。


「なぎちゃんなんて、大嫌い」


手の甲で涙を強引に拭き取る。首につけていたネックレスを無理やり引きちぎって、手の中で強く握り締めた。首がヒリヒリしていたけど、そんなのは構わなかった。


「こんなもの、信じた私がバカだった。さよなら!」


目の前にいる相手にリングを投げつけて、私は走り去った。涙でなぎちゃんの表情を見ることができなかった。

彼は踏まれて汚れたハンカチを拾い上げると、力強く握って苦しそうに地面に叩き付けた。

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