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そっか。だから皆と距離を置いているんだと納得した。でも、そんなの悲しすぎる。学校で友達とわいわい出来ないなんて。

独りぼっちと何も変わらない。一人で席に座っているなぎちゃんに、駆け寄りたくなる。


「桐生くんに近付かないで。顔見知りか何か知らないけど、気安く声掛けないで。あなただって、ここから桐生くんを追い出したくないでしょう?」

「‥‥どういうこと?」


勇気を持ってもう一度なぎちゃんに近付こうとしたら、取り巻きみたいな人たちに道を塞がれた。

彼女たちが言った言葉に、私は首を傾げた。
なぎちゃんをここから追い出す?


「桐生くんは一人でも仲が良い人ができると、転校させられてしまうの。特に女子はダメ。桐生くんのことを想うなら、話しかけないで」


怒った口調でもなく、むしろ切ない表情で彼女たちは立ち去っていった。

転校。
その単語が私の胸に深く突き刺さった。もしかして、あの時なぎちゃんが引越してしまったのは、私の所為だったのかもしれない。

だけど、幼い私には、なぎちゃんと距離を置くことなんて、できない。

やっとなぎちゃんに逢えたのに、どうしてこんなに遠いのだろう。私は息が詰まりそうなほど苦しくなる胸をごまかすように、小さなリングを握りしめた。

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