4/14 そっか。だから皆と距離を置いているんだと納得した。でも、そんなの悲しすぎる。学校で友達とわいわい出来ないなんて。 独りぼっちと何も変わらない。一人で席に座っているなぎちゃんに、駆け寄りたくなる。 「桐生くんに近付かないで。顔見知りか何か知らないけど、気安く声掛けないで。あなただって、ここから桐生くんを追い出したくないでしょう?」 「‥‥どういうこと?」 勇気を持ってもう一度なぎちゃんに近付こうとしたら、取り巻きみたいな人たちに道を塞がれた。 彼女たちが言った言葉に、私は首を傾げた。 なぎちゃんをここから追い出す? 「桐生くんは一人でも仲が良い人ができると、転校させられてしまうの。特に女子はダメ。桐生くんのことを想うなら、話しかけないで」 怒った口調でもなく、むしろ切ない表情で彼女たちは立ち去っていった。 転校。 その単語が私の胸に深く突き刺さった。もしかして、あの時なぎちゃんが引越してしまったのは、私の所為だったのかもしれない。 だけど、幼い私には、なぎちゃんと距離を置くことなんて、できない。 やっとなぎちゃんに逢えたのに、どうしてこんなに遠いのだろう。私は息が詰まりそうなほど苦しくなる胸をごまかすように、小さなリングを握りしめた。 [しおりを挟む] [mokuji] |