2/14 「加賀千代さんです。皆さん、仲良くしてあげてくださいね」 先生がそう言って、拍手が沸き起こる。あの人だけは、拍手はしなかった。 なぎちゃん……なぎちゃんだよね? 私はなぎちゃんに逢えた嬉しさのあまり、しばらく呆然としていた。 「加賀さん?」 先生の声でハッと我に返る。私は慌てて謝った。 「ごめんなさい!え、えっと席は…?」 「窓側の一番後ろですよ」 先生はくすりと小さく笑って優しく教えてくれた。私はカバンを抱き締めて、そそくさと自分の席に着いた。なぎちゃんは、一瞬だけ私を見て興味なさそうに青い空を眺めていた。 「どこから来たの?」 「好きな食べ物は?」 「彼氏いるの!?」 授業が終わる合図のチャイムが鳴った瞬間、クラスメイトに囲まれた。男の子も混じって興味津々に質問責めをする。 私は苦笑いを浮かべながら、なぎちゃんが座っていた席を見た。既になぎちゃんの姿はなくて、教室から出ていった所だった。 「ごめん、ちょっと!」 私は人を掻き分けて、急いでなぎちゃんの後を追った。廊下に出て左右を見渡す。すぐ近くの階段を下りていくなぎちゃんの姿が見えて、咄嗟に腕を掴んだ。 「なぎちゃん!」 「…誰」 [しおりを挟む] [mokuji] |