7/12

亨くんは一瞬だけ驚いて、すぐに元の表情に戻した。
ど、どうしよう。心の準備がっ!


「お菓子、マシュマロでいいかな」

「マシュマロ?お前、エロいなー」


え、待って!本当にやるの?
無理だよ、そんな人前で!
だって私、まだファーストキスもしてないんだから!ファーストキスが亨くんなのは嬉しいけどっ!け、けどっっ!


亨くんは私の隣に座った。肩をつかまれて、向き合う形になる。横顔も綺麗だけど、正面も綺麗。
そんなことを思ってると、壁に手をついて追い込まれた。


ち、近い!顔が間近に!


口にマシュマロを加えて、ゆっくりと近づく。周囲からヒューヒューと騒ぎ立てる声。私は、どうにでもなれ!と思って、ぎゅっと目を瞑った。


「この後、ここから抜け出さない?」


「え?」


耳元で囁かれた言葉に、思わず聞き返す。みんなからは、私と亨くんが本当に口移ししているのかはよく見えない。

それは、亨くんが私を包むように顔を近付けたから。それと、横に手を置いたことによって、私の様子をますます見えなくしている。


それより、抜け出すって……!?


[ 46/131 ]

[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
[mokuji]