7/12 亨くんは一瞬だけ驚いて、すぐに元の表情に戻した。 ど、どうしよう。心の準備がっ! 「お菓子、マシュマロでいいかな」 「マシュマロ?お前、エロいなー」 え、待って!本当にやるの? 無理だよ、そんな人前で! だって私、まだファーストキスもしてないんだから!ファーストキスが亨くんなのは嬉しいけどっ!け、けどっっ! 亨くんは私の隣に座った。肩をつかまれて、向き合う形になる。横顔も綺麗だけど、正面も綺麗。 そんなことを思ってると、壁に手をついて追い込まれた。 ち、近い!顔が間近に! 口にマシュマロを加えて、ゆっくりと近づく。周囲からヒューヒューと騒ぎ立てる声。私は、どうにでもなれ!と思って、ぎゅっと目を瞑った。 「この後、ここから抜け出さない?」 「え?」 耳元で囁かれた言葉に、思わず聞き返す。みんなからは、私と亨くんが本当に口移ししているのかはよく見えない。 それは、亨くんが私を包むように顔を近付けたから。それと、横に手を置いたことによって、私の様子をますます見えなくしている。 それより、抜け出すって……!? [しおりを挟む] [mokuji] |