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「忍足って俺のこと好きなの?」 野暮用で少し遅れたので、誰もいない部室で着替えていたら、どこからともなくジローの声が聞こえた。 辺りを見渡せばソファに横になってこちらを見ているジローの姿があった。 視線が低いので気づかなかった。 部活の始めに起きてるなんて珍しい。明日は雨やな…なんて思ってみたり。 いや、そういうことじゃなくて。 もしかしたらまだ寝ぼけているのかもしれない。 ほっぺたをペチペチ叩いてみるが、普通に嫌がられたのでちゃんと起きてるらしい。 じゃあこれは本気で聞いてきたのか… 「…ね、忍足」 「誰がそんなデマお前に吹き込んだんや」 「?別に〜…俺がそう思っただけだC」 「何を根拠にそないなこと…」 「だって俺が起きた時、いっつも傍にいるじゃん」 それは最近樺地の代わりにって、跡部からお前の面倒見るように言われているからで… だったら樺地にも言ったのだろうか。自分のことが好きなのかって。 そう考えたらちょっとムカッとなった。 「ふーん。俺は好きなんだけどなぁ、忍足。フラれちゃった」 「は?」 「んじゃあ練習行くね!」 元気よくラケットを握ってコートに出ていったジローの背中を見つめながら彼が言っていたことをよくよく考えてみる。 俺がジローを好きになるなんて、きっとない。 きっと… 振られる (ちょっと悲しそうな顔が忘れられないなんて、そんな) 120408 |