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(※社会人設定) 『サヨナラじゃ、柳生』 若く幼かったあの日の俺は、今でもお前を苦しめているだろうか。 泣きもせずに別れを受け入れたお前は、本当に俺のことを忘れて生きてくれているだろうか。 あれから長い時間が過ぎたのに、まだあの日の夢を何度も見る。 まるで俺が、どれだけ傷つけたのかを忘れはさせないとでも言うかのように。 いや、俺が忘れたくないだけかもしれない。 悲しい別れを選択したあの日が、柳生を見た最後の日だった。 だからこの瞳に焼き付けた最後の愛しい彼の姿を、ただ忘れたくないだけなのかもしれない。 (今でも変わらず、おまんのこと好いとうよ…柳生) 将来のことを、ない頭でたくさん考えて、俺が下した決断が正しかったかも、今柳生が幸せかも分からない。 でも確かにあの頃も今も柳生が好きで、好きで、堪らなく愛しいことは変わらない事実だ。 胸の辺りがきゅうっと苦しくなって、シャツを握りしめる。 この心臓が鼓動を止めない内に、もう一度だけでいい。 どんなに辛い結果になったとしても、 「それでも会いたい、なんて無責任かのう…」 結局どんな道を選んだって、彼を幸せにできる保証なんてなかった。 突き放す (きみがとっても、大好きだったから。) 120203 |