84.輝く(仁王×?) | |
俺の近くには、俺を臆病にさせる天才がいる。 俺みたいな心が汚れている人間が、アイツを好きで許されるんだろうか。 いつも笑った顔がキラキラしてて、こんな欲まみれな俺には眩しすぎるんだ。 笑ってるアイツも、怒ってるアイツも、落ち込んでるアイツも、全部がほしくて堪らなくなる。 隣にくれば抱き締めたくなるし、俺を見て話してる時は無償にキスがしたくなる。 でももし、それを実行すれば今のベストな関係が一気に崩れるのが目に見えてるから、どうしても手が出せない。 今まではこんなこと、一度もなかったのに。 嫌われるのが怖いなんて…俺は本当にアイツのことになると臆病になってしまう。 「………好いとう」 彼の背中を見ていたら、思わず口から気持ちが溢れた。 「ん、なにが?」 「え……っと、」 あー…まずい独り言を見事に聞かれてしまった。 「いや、何でもないぜよ」 ちょっとだけ口角を上げて表情を作る。気づかれてはダメだ。引かれること間違いなしだ。 不思議そうにしているお前に、本心を伝えることが出来たら、どれだけ楽になれるんだろう。 (お前が…なんて、言えない) 輝く (目を細めてでしか、見れないほどに) 121007 |