鮮やかな紺のスカアトからのびる脚があまりに魅力的に映るのは、それが普段から見慣れていないものだからなのか、はたまた恋慕する女の持ち物だからなのか。
脹ら脛の曲線はその途中でまた紺に切り替わり、その(ハイソツクスとか言うらしい)せいで、およそ三分の二が露わになっている太腿の白さや、続くちいさな膝小僧の愛らしさが一層きわだっている。
正直に言ってしまえば、そこから連想されるのは更けてゆく夜の密事である。この手であの白を染め上げる、それは恐らく容易く成され、目を細め息を吐く程に甘美なのだろう。あの初をどう食らうかという事は、小娘に会う度に、そうして清い美白を見せつけられる度に思案していたことでもある。もちろん私としてはそうしてやる自信は大いにあるのだ。


そうしてそれが今、私の眼前に無防備に投げ出されている。
会合が終わるのを待ちくたびれたのか、高杉君が待っていろと指し示した別室で小娘は眠りこけていた。健全極まる肢体は逆に魅力的でもあり、苦笑しながら近寄り腰を下ろす。寝息は規則正しく、なだらかに膨らんだ胸元はそれに合わせて上下する。僅かにもたげた首筋に、ア、これはやられたと思った。
男ばかりに囲まれて暮らしているというのになぜ自らの身を案じないのか、なんとも解せぬ奴だ。清潔と言えども程があるだろう。

少女を終え切れぬからだの曲線に目を滑らせる――頬骨から肩、胸部から下腹部、大腿とその踝までを隈なく。そうやって視覚を心地よく刺激すれば矢張り目に焼き尽くのはましろの肌。どうやら、これは本当にやられてしまったようだ。紺の布地の裾はあと少し、という所までめくれあがり、視線を逸らせないでいる。どうかこの、先を。

つ、と手が伸びて大腿に触れる。柔く滑らかな感触は予想通りで、いや予想以上で驚いた。
そのまま指をやって隠れている秘部をどうにかしてやろうかとも思ったが、そういえば相手はすっかり眠っているのだ。

「………ん、」

撫で回す私の指尖がくすぐったいのか、払うように寝返りを打つ。スカアトはそのからだに巻き込まれ更にめくれてしまい、見慣れない下着が半分程覗いた。ここまで煽るか、とさらされているまるい尻と脚の付け根にそう思う。

顔を流れる髪にうずめれば、嗅いだことのない甘い香りがした。小娘の持ち物は何もかもが新しい。


「会合は終わったぞ、起きろ」首筋に息がかかったのか小娘のからだがぴく、と反応する。面白がって同じ科白を今度は耳元で囁くと、半開きの口からふ、と息が漏れ、何かごにょごにょと言ったが聞き取れなかった。

「こら、いつまで寝ぼけている」

「……い…ま、起き…………」

と言いながらまた寝息を立て始める。セエラア服の裾はぎりぎりで肌を隠していたが、その中へ乱暴に手を突っ込んだ。しなやかな背骨の感触をてのひらが一瞬感じて、直ぐに小娘のからだが仰け反る。

「……ひあっ」

一気に目が覚めたらしい。

「な、なな、何」

まだなお背中を這いまわる感触に混乱する小娘がじたばたと暴れる。
さらに奥へと伸びた手が肩甲骨のあたりの帯のようなものに触れた。これは何かと考える。
小娘が半ばからだを起こしながら寝返りを打った。それに合わせて肌の上を滑る手は小娘のわき腹に行き着く。
小娘は大きく見開いた目で私を確認した。

「お、大久保さんっ」

何をしているのかと問わんばかりに私を見つめるが、構わず手をそのまま奥に突っ込んで柔らかなまるみを鷲掴む。

「やんっ」

なるほど、先程の帯はこういう構造か、と頭の隅で考えながらその感触を楽しむ。小娘の手が私の腕にかかり、弱々しく拒んだ。

「…や…め、大久保さんっ」

揉みしだく度に色を帯びた声を漏らす。腕を掴んだ手に力が入り、逃れようとする小娘を強引に後ろから抱え込むように引き寄せた。


「なかなか良い具合に鳴くようだ」

そう項に呟けば小娘の全身にさっと赤味が走るのが解る。腕を辿り私の手の甲にそのてのひらを重ね、引き剥がそうとするが、どうみても逆効果だった。自らで慰めているようにしか見えない。
細い腰を抱え込んでいた右手を太腿に持っていく。同時にからだがびくんと跳ねる。


「良い声を、誉めてやると言っている」

反応するとは言え飽くまで抵抗し続ける小娘に囁いて、真っ赤になった耳朶に噛りつく。
手の力がかすかに和らいだのを感じた。


「これはどう外す」

下着の、谷間のあたりで細くなった部分に指を引っ掛けて、示すように何度か引っ張る。
小娘はそれに気付き口を尖らせてそっぽを向いた。


「はやく、奈々」

息だけでそう言って催促をすれば、震える睫毛は観念したように唸った。


「大久保さんは、狡い」

ぽつりと悪態をついて小娘は背中に手を回す。人差し指の感触が急に緩んだと思うと、障害を無くしたてのひらが膨らみを弄り始める。その頂きを掠める度に、あっと声をあげてしなるからだが、どうしようもなくいじらしい。

もう殆ど意味をなさない紺から伸びた脚が、赤くなってよがるのを見下ろして目を細めた。
ああ狡くて結構、その甘い光景にいつもの笑みをこぼすけれど、蕩けるような眩暈を覚えているのも確かだった。



 果実は溶かして添えて







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