想いを伝えられない距離





「最近何かあったか?」




トレーニングルームでランニングをしてると、隣の機械に虎徹が座った。
座るためにあるわけじゃないのになあ。

滴る汗をほらよ、と渡されたタオルで拭きながら機械を降りる。


「なに、いきなり」

「お前、気ぃ抜けてんぞ。そんなんじゃ怪我するし。何かあんなら相談にのろうと」

「あぁ、違う違う。あの日なの」
「あの日?」

「あ・の・日!まだわかんない?」

「んん?」

「だーかーらー!女の子…」

「だー!わかった、わかった!皆まで言うな!」

「言わせたのはそっちでしょうが」


こんなやりとりが楽しくて仕方がない。
誰と話したってこんな気持ちになるわけじゃない。
虎徹だから。






私は恋をしている。






「悪かったって!……ならいいけどよ。何かあったら言えよな」

「心配しなくたって大丈夫。絶対にありえないから」


そう、ありえない。
私たちの関係は、ヒーローの先輩と後輩、歳の離れた友人、そんな言葉が当てはまる。
これから先、それ以上にもそれ以下にもならない、そんな関係。


「そういうことじゃなくて…!」

「これからカリーナと買い物に行く約束してるの!じゃあね!」

「おい、名無し!」




好き。
好きなの。
大好きなの。




一度声に出してしまえば、溢れてしまうくらい。




愛してるの。




切なくて、苦しくて、愛しいこの気持ちを抱えて、今日も生きていく。




END


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