この熱は誰の所為?
【瞳の奥に恋が、揺らめく】の続き。
***
「どうしたの、やだ、やだよ」
「なまえ、可愛い」
少しお酒の匂いがした。それと香水の匂いも。いつもの彼じゃない。酔っているのだろうか?一緒に住み始めて二週間近く経ったある晩の事。帰宅早々寝ていたなまえに絡んできて寝惚けている彼女に馬乗りになって甘えるアカギに次第に醒める眠気。と同時に何故か怖くなって必死に退かそうと肩を押し返すけれど敵う筈も無く、そのまま強く両腕を拘束されたら布団に縫いつけられたように身動きが取れなくなってしまった。
「っ…や、やめて!」
「なまえは俺が嫌いなの?」
「違うけど…アカギさん、怖いよ」
「ククク。まさか初めてな訳じゃないだろ」
「初めてって、なにが」
「記憶が無くったって身体は覚えてるはずさ」
無理矢理引き千切ったパジャマのボタンが床に転がる。露になったまろやかな胸が小さく震えていた。
***
「なまえ、力抜いて」
「やあっ」
痛い、痛いと身を捩る彼女の身体を割いて深く腰を沈めるとぎちぎちに締め上げるそこはまるで拒絶しているかのように奥へと進むアカギを阻んでくる。
「い、いたっ、痛い!」
「こんなに濡れてんのに痛いんだ」
「んっ、んー!」
肩に噛み付いて抵抗しても甘噛み程度の痛みしか感じない。それがまた可愛くて手加減を忘れて激しさを増す律動に、目に涙を浮かべて許しを乞う彼女の泣き顔が抑えていたアカギの加虐心を煽る。
「なまえ、泣き顔も可愛い…っ、」
「や、ぁあ!アカギさ…っ」
浅い呼吸を繰り返して痛みを逃そうとするなまえの唇に噛みつくようなキスを落とす。素直な反応に身体も心もどろりと溶けてしまいそうな程の快感。程なくして大きく腰を打ち付けた後、彼女の胎内へと熱く滾る白濁の欲を吐き出した。
***
「なまえ、大丈夫?」
「…ふぁ、あ…」
くたりと投げ出された身体が荒い吐息に合わせて上下に揺れる。白いシーツに破瓜の証が赤い染みをつくり、点々と跡を残す。
「本当に初めてだったんだ」
「…どうしてこんなこと」
「アンタが可愛くて我慢出来なかったんだ」
「でも痛いのは…したくない」
「大丈夫。次はもう痛くないから」
「ほんと?」
「俺が教えてやるよ」
「…うん」
気怠い身体をゆっくりと起こして横で煙草を吸うアカギの背中に抱き着いたなまえは、少し照れた表情でこくりと頷いた。
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