予定と違うけど案外しあわせです
※神域亡くなってません。
長男アカギ/次男しげる
***
妻を娶った。なまえは若くて可愛らしい。性格は穏やかだが、それでいて芯のしっかりした所もある。俺に似合わないと息子共から散々叩かれたが無理矢理結婚した訳じゃねえ。
「赤木さん、いってらっしゃい」
「おう。良い子で待ってな」
玄関先で毎朝のお見送り。優しく頭を撫でた後は"いってきます"のキス。
「気をつけて」
名残惜しそうに抱き締め合う二人の周囲には見えないハートが飛び交っているようだ。
「毎朝飽きもせず…」
「そういうの俺たちが行ってからにしてよ」
うんざりした様子で靴を履く息子二人、長男アカギと次男しげる。
「あっ、ご、ごめんね」
赤く染まった頬を両手で隠すなまえの仕草も初々しくて可愛い、と思ってしまう三人はやはり血の繋がった親子だからなのか。
「じゃあ、いってきます」
しげるがなまえに手招きして自分の頬を指差す。意図がわからずに近づくと早く、と急かされて
「可愛い息子に"いってらっしゃい"のキスしてよ」
「え、っ?あ…うん」
同じくらいの背丈が並んで、差し出された頬に軽く口づけたら嬉しそうに笑って学校に行ったしげるの後ろ姿を見送る。やれやれと一息ついたなまえに今度はアカギが近づいて
「ねえ、なまえさん。俺には何も無いの」
「え?」
「キスはいいから"いってらっしゃい"のハグして」
「あ、あの…うん」
言われるまま、その細腰に手を回す。男の子なのに細いなあ、とかもっと食べさせたほうがいいのかな、などと幾らかしか違わない年下の(息子というより弟のような)アカギを抱き締めた。
「おいなまえ、遅刻するぞ」
「あっ、急がなきゃ」
先程の一部始終を黙って見ていた赤木が苦々しい顔でなまえの腕を掴んで引き剥がす。チッ、と舌打ちしてつまらなそうな顔をしたアカギが渋々仕事に行くのを手を振って見送った。
「家族って良いですね」
「そうだな…でも」
ちっとばかし甘やかし過ぎじゃねえか?
「ふふふ…じゃあ、赤木さんも遠慮しないでたくさん甘えて下さいね」
「じゃあ、今晩そうするかな」
「?」
「行ってくる」
にこやかに手を振って見送るなまえだったがその夜…
「なまえ、甘えさせてもらうぜ」
「あ、赤木さん、」
結局一睡も出来ずに朝を迎えたなまえは暫くの間、甘やかすのは控えようと心に決めた。
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