準備期間
04 四葉Side


ごめん。家に帰るの1週間遅れる。

そうハチにメッセージを送った昨日の夜。
返事はすぐに返ってきて、「マジか。無理すんなよ」とメッセージアプリには書かれていた。
うちの弟優しすぎない!? よっ! 男前!
明も”夏休み初日から1週間は帰れそうにない”と送ったところ、「えっやだ!」と返ってきたらしい。
あまりにも可愛いからしんどい、とひたすら兵助の可愛さをマシンガントークで言われてしまった。

で、今朝。
私と明が、男子テニス部の合宿に参加する話が既に学校中に広まっていた。



「羨ましい! ポジション変わってーやー!」
「竹谷さんがかわええんは分かるけどー!」



早速、教室に入ってからクラスメイトの女の子達に囲まれてしまう。
嫉妬でいじめが始まるんじゃ、と思ったけど、ただ合宿に参加することになった経緯を聞かれて羨ましがられるだけだった。
拍子抜けしている私に気づかず、「ここから始まるラブロマンス!?」「きゃー!」と盛り上がる彼女達。
ちょっとでも疑った自分が恥ずかしい。こんなにも良い子達なのに。
戦が無い現代で気が緩み、人を見る目があやふやになってるのかなあ……。



「もしかして、昨日の手紙って……」



女の子達の輪の中には、昨日私に手紙を持ってきてくれた女の子もいる。
「あれ千歳君からだった」と素直に言えば、彼女は「そうなん!?」と大きな目を丸くして驚いた。



「てか行ったんや!? ほんまにいじめやったらどうするつもりやったん!?」
「返り討ちにします」
「逞しいな!?」



ガッツポーズを作ってキリ顔で言えば、彼女は更に驚いた。
私達のやり取りを聞いていた女の子達は笑いながら「おもろいなあ」と言う。
まあ、男の集団だろうとなんだろうと、この私にかかればちょちょいのちょいよ。楽勝。
自信満々に笑顔を浮かべていると、輪の中にいる1人の女の子が、私に顔を近づけてきた。ん? なに?



「写真、頼むで」



小声で言われた。……写真?
「えっ?」と聞き返せば、「テニス部の」と言われる。それってつまり、白石君達のってことだよね?
荷が重いぜ……。なんて思っていると、彼女の声が聞こえたのか「うちもー!」「ずるいで、うちも!」と何人もの女の子が手を挙げた。
どんだけ人気なんだ、男子テニス部。
とりあえず「頑張る」と言えば、彼女達は「ひゃっほーう!」「楽しみー!」と盛り上がった。みんな元気だね。

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