◆其の六

ついにやってきました、くのたまと忍たまの合同授業。
校庭に集められたくのたまと忍たまは、お互いにお互いのことを意識しながら学園長先生の説明に耳を傾ける。
ルールは至って簡単、二人一組になり、隠された宝を探すというもの。
宝はいくつかあるのだが、二人一組になっても宝の数が足りない為、それを奪い合わないといけない。
制限時間がくるまでに宝を持っていれば良い為、宝を持った人から隙を見て奪うも良し、戦い合って奪うも良し。



「尚、六年生五年生四年生は、必ず三年生二年生一年生と組むこと」



チッ、八坂と組もうと思ったのに……。
「では、各々組むように」と言う学園長先生の言葉に、生徒達がそれぞれ動き出す。
八坂が駄目となると誰にしようか、とくのたま達に視線を向ける。
…………あ、



「ユキちゃーん、組もうぜー」



ユキちゃんを見つけ、後ろから抱き着く。
二年生だけど、手裏剣の扱いも体術もセンス有るから、きっと上手くいくだろう。
ユキちゃんは抱き着いたのが私だと分かると、「ちか先輩」と驚いた表情をする。
しかしすぐに、「ちか先輩となら勝ったも同然ですね」と笑みを浮かべながら言ってくれた。




 ***




しばらくユキちゃんと会話をしながら全員が組み終わるのを待っていると、学園長先生が「それでは始めっ!」と号令を出す。
どうやら全員組み終わったようで、学園長先生の言葉に颯爽と走り出す生徒達。
私とユキちゃんは「どこ探そうか?」「そうですねえ、」と話しながら、ゆっくりと歩き出す。



「場所が学園内から裏山までの範囲となると、探すの大変ですね」
「皆行っちゃったけど、今居る校庭、結構怪しくない?」



私の言葉に「確かに」と頷くユキちゃん。
まあ校庭がこう広いと探しようが無いけれど、意地悪な学園長先生のことだからどこかにありそう。
学園長先生曰く、至る所にヒントが隠されているらしいから、まずはヒントを探さないと、かな。
そう考えていた時、ユキちゃんが「ちか先輩、あれ」と何処かを指さした。
その指さした方へと視線を向けると、木の枝に紙が結ばれているのが見えた。



「もしかしてヒントじゃ……?」
「流石ユキちゃんっ!」



二人で木に駆け寄り、破れないように丁寧に紙を取って開く。
内容を見ると、「地」とたくさん書かれた文字の周りに「木」「塀」という文字が囲んである。
その中心には「宝」の文字がある為、このたくさん文字がかかれた紙には、宝の場所が書かれているのだと分かる。
私にはこれが何を意味しているのか分かったが、ユキちゃんは「何これ」と眉間に皺を寄せた。



「これはね、校庭を意味してるの」



私の言葉に「校庭?」と首を傾げるユキちゃん。
「地」というのは地面、「木」「塀」「宝」はそのままの意味。
地面を囲っている木と塀は、絵ではなく文字で書かれた校庭、というわけだ。
私の説明を聞き、「なるほど!」と納得するユキちゃん。
そして、改めて校庭を見て、



「この校庭の中心に、宝が埋められているというわけですね」



と言った。
全くもってその通り。
念の為「苦無は持ってるね?」とユキちゃんに聞くと「勿論ですっ」と返事が返ってきた。
それならば、と苦無を懐から出し、同じように苦無を出したユキちゃんと一緒に校庭の中心へと走り出す。



「掘るぞーっ!」
「おーっ!」

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