2015/12月
12月17日

「よ、風華ちゃん。今日も綺麗だね」

そろそろお茶にしようか、という時間に一心さんがふらりと顔を出してくれた。

「こんにちは、一心さん。有り難うございます」

「だがまあ、真咲には敵わないけどな!」

「ふふ、知ってますよ」

いつも彼は挨拶がわりに私を誉めた後にこう締め括る。
二人の仲は私から見ても、羨ましくなるぐらい本当に仲が良かったから、今もこうして、真咲さんが愛されてるのだと分かって嬉しくなる。

「ところで、浦原は?」

「喜助さんなら、そろそろ起きてくると思うんですけど」

「はぁ?今14時だぞ!?自堕落な生活送ってやがんな。今度生活指導してやろうか、医者として」

「いいっスよ、そんなの」

まだ眠たそうにしながらも喜助さんが起きてきた。

「ほらよ」

「・・・なんスか?」

突然投げ付けられた箱を、なんなく受け取った喜助さんが首を傾げる。一瞬こちらに視線を向けられたけれど、私も分からないから首を振るだけ。

「お歳暮だよ、お歳暮」

「ああ・・・って、この渡し方はどうなんスか?」

「それはお前の日頃の行いに見合った渡し方をしただけだよ」

「はぁ、スイマセン」

それだけ渡すと、邪魔したな、と一心さんは帰っていった。
一心さんが帰ってから、熨斗に『歳暮』と書かれた箱を開けてみると、可愛らしい『誕生日カード』と『旅行券』が入っていて、『これで風華ちゃんをどっかに連れてってやれよ』だって。以前、たまには彼女に羽を伸ばさせてあげたいってぼやいてたことがあったんですって。
そんな話してたなんて知らずに驚く私の隣で「してやられましたね」と喜助さんは額を覆って笑っていた。



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