2015/12月
12月01日
びり。
柱時計の下に提げた日めくりカレンダーを破る。
12月1日。
今日から師走だ。
よくよく12という数字に縁がある人の大事な日が控えている月の初め。
「よし、頑張ろう」
日付をみて、私は気合いを入れ直すように、拳をぐっと握った。
とりあえず予定では前半、出来れば20日頃までには仕上げてしまいたい。
只でさえ年末は忙しいのだから。
「鉄裁さん、私ちょっと出てきますね」
「承知」
針はあったから、毛糸と、それから、図案も買っておこうかしら。
走り書きしたメモと鞄を片手にコートを羽織る。
隣町の手芸店まで、と出掛けてようとしてからもう一度鉄裁さんを呼ぶ。
「あの、・・・やっぱり、付き添ってもらえますか?」
「構いませんぞ。風華殿の帰りが遅くなると店長も心配しますからな」
彼は分かっていたみたいで、すぐに出てきてくれた。
顔が赤くなってしまったけれど、仕方ない。
だって、まだ一人だと迷いそうなんだもの。
どうにかならないかしら、この方向音痴って。
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