四十八手
*撞木ぞり*
背後から彼女を抱き上げて自身の膝の上に座らせる。
そうして彼女の潤った中へ侵入してゆく。
「・・・んっ、」
「風華、手を」
体を繋げたまま、風華の両脇から自身の掌を上に向けて差し出す。促されるまま彼女は、その手を肘掛けに置くように上から重ねてくる。その白く華奢な指に自身の指を絡め合う。
「手?・・・ふふ、手を繋いでどうするの?」
この向きだと彼女の表情を窺うことが出来ないのが残念だ。
おそらくまた目元を赤く染めて愛らしく微笑んでいるのだろう。
「こうするの」
両手を繋いだまま、喜助は布団に倒れ込む。
上体は倒したものの、肘をついて手を握った彼女の体は起こしたまま支えている。
「喜助さん?私はこのままでいいの?」
「うん、上体は起こしたままでいいよ。でも、手はこの辺について、・・・そう、背中は反らせて」
絡めていた指先を解き、寝転がった喜助の両脇に後手に着かせる。
「これ、私が動くんですか?」
「ん?風華はどうしたい?」
「どうって、」
上位にある場合、女性が動くことが常であるから、今の場合確かに彼女の言う通りなのだ。
さらに言えば、『撞木ぞり』というこの体位は、女性を撞木ー鐘をつく棒ーに例えたもので、女性の胴を持ち手、腕を鐘に打ち付ける部分に見立てている。それが背を反らせた様子が謂れだという。
だからこそ彼女が動くべきではあるのだが。
「ひゃ、あっ、んんっ、だめっ、あ、」
「気持ちイイ?ねぇ、風華サン、教えて」
反った体の上を擦るように下から突き上げる。
よく知った風華の良いところに当たっていることは分かっているが、それでもつい訊いてしまう。
「ねぇ、どうなんスか?この体勢じゃ、アナタの顔が見えないから、分かんないんスけど、」
「やだ、ぁあ、胸、だめ、」
「ダメなんスか?ホントに?こうされるの、好きでしょ?」
彼女自身に支えてもらうことで自由になった両腕で、胸と下の花弁も同時に愛撫する。
触ってもいないのに、尖らせ始めていた胸の頂を指できゅっと挟み、下の小さな花弁は溢れ出た蜜を絡めて爪先で擽る。
「やっ、喜助さ、ん、っ、んんっ、だめぇ、」
「素直じゃないっスねぇ・・・ホラ、どんどん、濡れてきてますよ」
突き上げる度に水音が激しくなっていく。
中のうねりも激しく、喜助のモノを搾り取ろうと何度も収縮を繰り返していて、既に風華が数回ほど軽く達しているのだと知っている。
けれど、喜助が昇り詰めるまではまだ少しかかりそうだ。
「ああッ!やめっ、やァっ、もう、だめっ、ンンっ!」
「悪いけど、もうちょっとだけ、付き合って、」
反った体勢の女性器に、固く勃ちあがった肉棒を反って突き立てる様もまた、『撞木ぞり』といえるのではないだろうか。
実践した男は、後にそう語っていた。
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