四十八手
*流鏑馬*
「そう、そのまま腰を落として、・・・ん、いいよ、風華」
「んっ、」
言われるがままに喜助に跨がって彼自身を濡れそぼった孔へと導く。
性器が触れ合った瞬間、ぬちゃり、と、粘ついた音がして思わず耳を塞ぎたくなる。
けれど、片手ははしたなく涎を垂らしている自身の入口を、片手は反り上がるほどに勃ちきった喜助自身に添えてゆっくりと呑み込んでいく。
「あ、はぁ、入った?」
「ん、気持ちいいよ、」
「ん、んん、」
緩やかに腰を上下させ始めたところで、喜助が何やら紐のようなものを渡してきた。
「風華、これ持ってやってごらん」
「え、でも」
「大丈夫。それよりほら、ボクを馬だと思って」
「でも」
何が大丈夫なのか、そして何をしたいのかが、さっぱり分からない。
「いいの。これはね、『流鏑馬』っていう四十八手の一つなんスよ。知ってました?」
要はその『流鏑馬』とやらを試したいのだろうか。
「喜助さん、あの普通にしませ、んんっ・・・や、ぁッ!」
下から強く揺さぶられる。奥が抉られる程に激しく擦りあげられる。
「あ、あんっ、や、」
「ほらっ、ちゃんと、手綱引かないと、っ、暴れ馬に、好きに、されちゃうよ?」
「や、だめ、んっ、ふぁ、」
くらくらと快楽に揺れる頭で懸命に考える。
これが、乗馬だというのなら。
「ん、んんっ、ぁ」
「・・・っ、く、うぁ、いいね、風華」
内腿と内部を強く締め上げてるように力を入れてみた。正解だったようで、彼の表情から、余裕が消えて、緑柱石の瞳により快楽の色が灯る。
いや、待て。本当に正解だろうか。
「やれば出来るじゃないっスか」
自身の下で同じく浅い呼吸を繰り返す男の口角がゆっくりと吊り上がるのを、風華は呆然と眺めていた。
「覚悟は、いい?」
「え、やだ、喜助さ、・・・あぁッ、や、激し、・・・!!」
訂正、これは不正解だったみたい。
この後どうなったかなんて、語るまでもないこと。
ーーそうでしょう?
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