四十八手
*鳴門*
「風華サン、」
夕方に店先の片付けをしていた風華を手招く。
おいで、おいでと手を振る喜助に、彼女は小首を傾げた。
「どうしたんですか?店仕舞いなら今終わったところですよ?」
シャッターを下ろしたばかりの彼女は、まだその手に持っていたフック棒を立て掛けてから、喜助の元へ近付く。
「いいから、いいから」
胡座をかいた自身の膝の上に風華を背中から抱き抱えて、彼女の首筋に顔を埋める。風華は笑いの混じった呆れのような溜め息をついた。
「・・・もう、喜助さんたら。邪魔しないで」
そうは言うものの、彼女は抵抗はしない。
その風華の甘さについ漬け込んでしまうのはいかがなものか、と頭の片隅では思いつつも、悪戯な自身の掌は既に彼女の内腿を擦っていた
「・・・んっ、やだ、・・・喜助さん、あとで、」
「もう遅いっスよ」
するすると内腿を撫で回し、人差し指でつうっと付け根だけをなぞる。彼女が僅かに体を固くする。本当に敏感なことだ。
「もしかして、もう濡らしちゃった?」
「・・・ぁ、ちが、」
「そう?じゃあ触ってみましょうかねぇ」
「や、だめっ、」
下着の脇から人差し指を侵入させると、くちゅり、と音がして、指に重みのある液体が絡み付く。
「ほぅら、やっぱり濡らしてる」
喜助が背後から耳元で囁くと風華はその耳朶を赤く染めて、顔を逸らす。
「店先でこんなに濡らすなんて、淫乱っスねぇ」
「これは、喜助さんが・・・っ!」
「そんなこと言っていいんスか?コレ、欲しいんデショ?」
既に熱くなっている半身を彼女の尻肉に押し当てると、彼女が小さく息を漏らした。色の混じったその吐息は、彼女がそれを待ち望んでいることを明らかにしている。
欲しいのなら、自分で入れてごらん?と促すと、風華はきゅっと唇を噛み締めつつ、背中を向けたまま、喜助の上に股がってきた。
「はぁ、んっ、あ、あ」
「そう、・・・ぁっ、いいよ、その調子、・・・ぅあ、」
ぐりんぐりんと風華が腰を廻す度に、中の収縮と、根本への摩擦具合が変わり気持ちが良い。
だが、欲望というのは尽きないもので、寧ろ更に増してゆくばかり。
干潮、または満潮時にもっとも大きく激しく白波を立てる渦が生じるという鳴門のように、もっと激しく結合部の蜜が泡立つ程に乱れ合いたい。
帆船を飲み込む大渦のように、彼女に飲み込まれて、一つに融け合えたなら。
どんなに気持ちいいだろうか。
「ねぇ、風華、もっと激しくしていい?」
喜助は耳元で囁いて、彼女を抱き寄せる腕に力を込めた。
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