四十八手
*立ち松葉*
「んっ、あ、」
「は、ぁっ、・・・気持ちイイ?」
「は、ぁ、そこ、いいっ、の、」
互いの脚を交差させてぐりぐりと押し付けられる。
深く交わる結合部からは濡れた音がして、見上げる喜助の首筋にうっすらと汗が滲んでいる。
気持ちいいかと問う彼も、きっと感じてくれているのだろう。満たされた気持ちになって、風華がその首筋に手を伸ばそうとしたときだった。
「よいしょ、と」
「きゃ、まって、なにするの!?」
足を交差させたまま、突然喜助が立ち上がったのだ。
驚いたものの、風華はなんとか顔の横に手をつくことができた。
両足を捕まれ、背中はついているものの、まるで宙吊りのような体勢だ。
「あ、ん、やだ、・・・喜助さん、離して!」
「後でね」
「後でって、そんな、」
唖然とする風華を余所に、喜助は訊いてもいない説明を始める。
「これはね、『立ち松葉』って言うんスよ。松葉崩しの、立ってするバージョンだから」
「そんな話はいいです、そうじゃなくて、・・・ひぁ、んっ、」
諫めようとした風華の声など聞こえないというかのように、喜助がまた腰を動かし始めた。
上下だけでなく、左右、さらに円運動まで加えられ、ぐちゃぐちゃに掻き回されてゆく。
逃げようにも両足を捕らえられていて、逃げるどころかさらに押し付けるように吊り上げられるほど。
「いや、あぁっ!・・・喜助さ、ん、やめ、て・・・!」
「もう、ちょっと、だから、」
「でも、んっ、・・・ひゃ、ン、やぁ!」
「くっ、風華、はぁっ、・・・締め過ぎ、っ、」
そんなことを言われてもどうしていいか分からない。
体を支える為に掴まるところもなく、どこに力を入れたらいいのか。風華は浅く呼吸を繰り返しながら、ただその行為を受け入れているだけだ。
苦しい体勢で行われる行為故か、喜助のモノに食らい付いてしまっているらしいが、それすらも風華の意思ではない。
頭に血が昇ってきているような気もする。
「ん、きす、・・・さ、・・・ぁっ、も、ンッ、・・・む、り」
そんな状況でも、彼が腰を動かす度に、内腿が腫れた肉芽に擦れて快感を感じてしまう。その度に蜜を産み出した花弁の奥を縦横無尽に擦り、穿たれてしまっては、否応なしに絶頂を迎えるしかない。
「ひっ、あ、あああっ!!」
「ふふ、イっちゃったの?」
訊かなくても分かっていることを、どうしてわざわざ訊いてくるのか。
肩で息をしながら、睨むように見上げると、喜助は脚を解放してから、笑顔でこう告げた。
「で、ボクまだイってないんで、もう少し付き合ってね」
「もう無理!ダメです!・・・やだ、喜助さん、っ、あ、んっ、やぁ、」
結局その日は朝方になるまで解放してはもらえず、翌朝彼女が寝坊したのは言うまでもない話である。
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