四十八手
*松葉崩し*
正常位から彼女の片足を持ち上げて、互いの脚を絡ませあうように、交差させると、根本までずっぽりと収まる。
担ぐ脚の角度を変えると、収まり具合も変化し、それも楽しめる。
ーーーー松の葉が交差するように。
そう表現されるこの体位は、今でも有名な体位の一つである。
当然、喜助も過去に何度か試したことがあるものだ。
「確か、このぐらいで、」
「あっ、んっ、そこっ、」
絡ませた脚をさらに肩に担ぎ上げると、更に深く抉ることこできる。腰を擦り付けるように何度か抜き差しして、風華の"イイトコロ"を探る。
既に十分すぎる程に知ってはいるが、体位で感じ方が違うのか、いつもと違う箇所の方が良いこともあるらしい。
「ココ？それともコッチ？」
「あァ、やっ！あンッ！！」
風華の声が高くなる。今日は『コッチ』がお好みのようだ。
さて、ここからが今回の本題だ。
松葉を崩すと書いて『松葉崩し』。
交差させたことを松の葉に例えているのなら、それが崩れるとはどういう状況だろうか。
松の葉が抜け落ちてしまう様か。
動きを止めた喜助を、風華が不思議そうに熱の交じった瞳で見上げてくる。
「・・・はぁっ、・・・喜助さん？」
「風華、少し、試してもいい？」
「・・・え？・・・あっ、」
ぐずぐずに蕩けた中から、自身を引き抜くと彼女が小さく声を漏らした。物足りなさそうに聴こえた気がして、ふっと笑い、一息に、貫く。
「あァっ！！・・・あっ、・・・ンンッ！！・・・はぅ」
「・・・どう？・・・はぁ、・・・ココが、いいんでしょ？」
抜いては刺し、刺しては抜いて。
いつもなら入れたまま動くところを、一突き毎に引き抜いた。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と何度も何度も挿入され直す感覚に風華が腰を下げてくる。抜かれてしまう度に絶頂感が遠退くのだろう。
松の葉が抜け落ちる様は、どうも違うらしい。
「どうしたんスか？」
「あっ・・・もっと、あン！・・・はぁ、もっと、」
「『もっと』ねぇ。・・・煽ったのはアナタだからね？」
「ひっ、はぅ、ああっ！ん、あんっ！」
ずぱん、ずぱんと肌を打ち付ける音に混じる風華の啼き声。
熱く蕩けた中を好き勝手に抉ってゆく。
激しさからか、今度は上に逃げようとする風華の体を押さえ付けて、腰を引き寄せる。
「あ、あぁ！も、だめっ！やめ、んんっ！！」
「まだまだっスよ、はっ、風華っ、うぁ、」
律動する振動で担ぎ上げた脚がいつの間にかずり落ちてきて、再度担ぎ上げるが、またずり落ちてくる。
煩わしくなって、絡めた足を戻してまた正常位で穿つ。
「いやぁ！やら、あ、あ、ァン」
「・・・ぅあ、っ、イくっ、」
どくどくと脈打つ半身が収まるのを待ち息を整えながら、思った。
なるほど、確かに『崩れて』しまった訳か。
がむしゃらに穿つ内に、いつの間にか崩れてしまう。
それが由来だった、などと。
実際はそんなことはないのだろうけど。
そういう落ちもまぁ、悪くはないのかもしれない。
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