四十八手
*鶯の谷渡り*
ちゅるちゅる。
ちゅぱちゅぱ。
柔肌を啄む音が響き渡る。
舌で押すと、柔らかな肌がそれを押し返してくる。
白く深い谷間に溜まる滴を舐めとると、僅かに塩辛い。
それなのに、柔らかなその乳房は舐めれば舐めるだけ、甘い香りがする。その香りに目眩がしそうな程だ。
「・・・っ、・・・ァ、はぁ、」
きゅっと、瞼を閉じたまま風華が詰めた息を吐き出す。
喜助は今、横になった彼女の脇に踞るように座っている。そのまま、彼女の頭上で風華の腕を押さえつけているから、風華が身動ぎしても、その豊かな乳房を揺らすだけで、全く抵抗になっていない。
視線を横へ向ければ、眉根を寄せて快感に悶える彼女が視界の端に映る。
柔らかく白い双丘に吸い付くと、簡単に痕が残る。
その鬱血痕を舌でなぞる。
唾液を絡めてなぞれば、ぺちゃり、と濡れた音がする。
呼応するように、ひくり、と風華の体が震える。
白い肌を舐めつつ、桜色の突起まで移動する。
舌が触れるか触れないかというところで、一度、その舌を引っ込めた。
「・・・ぁ、」
安堵したような、落胆したような吐息が風華の唇から漏れ聞こえた。
喜助は、にやり、と口角をあげて問い掛ける。
「舐めてほしい?」
ぷっくりと勃ち上がったそれに舌先を触れさせると、またも、ひくり、と彼女の体が震えた。
「んっ、・・・やめ、て」
うっすらと開いた唇は既に快楽を欲した吐息を漏らしているのに、涙の滲む琥珀の瞳は、まだ強い光を灯したまま。
「ふーん。なら、」
けれど、風華がより強い刺激を求めていることは判っている。先程から内腿を擦り合わせていることに気付かない筈もない。無意識にかもしれないが、腰も揺らし始めている。
「アナタが欲しくなるまで、シてあげる」
脚の谷間に顔を埋めると、くちゅり、と湿った音がした。
舌先で彼女の茂みを掻き分ける。
「あっ、やっ!だめ、んんっ!」
喜助は小鳥が啄むようにちゅくちゅくと、風華の花弁に吸い付いた。吸い付く度に風華の体が跳ねる。
「どう?欲しくなりました?」
「・・・んっ、いらな、い・・・っ!!」
まだ限界を認める気はないらしい。それならそれで、此方も、味わい尽くすだけだ。
山谷を飛び回る鶯の如く、女体の合間を濡れた音を奏でながら囀り回る。
さすれば女の体は欲に溺れて、此方が鳴かずとも、卑猥な音を奏で始める。
彼女がそんな音を奏で始めるまで、果たしてあとどのぐらいであろうか。
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