四十八手
*燕返し*
「あ、っ、喜助さん、もう、今日は、」
「あと一回だけだから、」
「でも、私、」
「これで終わるから、付き合ってよ。ね、いいでしょ?」
「あん、っ、そんな言い方、ずるい、」
風華の体を俯せにさせて、片足を持ち上げる。
大きく開かれた脚を閉じようと彼女が身を捩るが、その開いた脚の間に喜助自身の体を割り入れて、脚を交差させてしまえば閉じようもない。閉じたところで彼の半身なり腿なりを挟み込んでしまうだけだ。
持ち上げた脚を肩にかけて、さらに開脚させる。
仰け反った背中を布団に押し付けるようにして、風華の体を押さえ付ける。
そうして股の間に喜助自身を擦り付けるように腰を前後させる。
「んっ、・・・やっ、」
「どう?ほしい?」
くちゅりくちゅりと濡れた音をさせて陰部が触れ合う。
「いや、やめて・・・っ」
敷布にしがみつき、彼女はぶんぶんと首を振る。
こんなに濡らしているのに、それでも風華は嫌がる素振りを見せている。
まあそれも仕方ないのかもしれない。
既に彼女は二回も果てていて、これ以上は体に堪えるのだろう。
けれど、抵抗が弱くなってきた今だからこそ、こういう体位に挑戦できるというものだ。
「一緒に気持ちよくなれるのに?嫌なの?」
「ん、もう、・・・いじわる」
「ふふ、本当に可愛い人」
覆い被さって彼女のほんのりと赤く染まった目尻に口付ける。と同時に我慢の限界に来ていた半身を深く突き刺す。
「やあぁあ!!」
「・・・っ、くっ、これ、も・・・なかなか!!」
脚を割り開き、上体を軽く捻りつつ背を反らせた体勢のせいか、膣の締まり具合が違うようだ。それに合わせて突き入れ方を変えなければ奥まで穿つことができない。
腰を回し、捻りつつ、下から上に突き上げるようにして捩じ込んでゆく。畝る肉壁の動きもいつもと違い、予期せぬところで食らい付いてくる。それを押し広げるように深く抉っては抜き、抜いては突き刺す。
「あ!はぁ、っ、ァん、ッ!」
「気持ち、いいっ、ん、でしょ?・・・っ、アタシの、燕、サン」
背中を反り、ぴんと両足を伸ばした様子が燕に似ているからと言われるように、確かに梅雨空に低空飛行する燕に見える。
逃げようとする腰を引き寄せる。決して速い動きではないのだが、いつもと違う角度で交わっているせいか、じっとりと肌が汗ばんでゆく。それは燕の飛来する時期の湿度を思わせた。
「・・・ここも、梅雨、みたいだし、ね」
「やっ・・・あァ、あっ、ん、」
風華が愛らしく囀り、蜜壺からは次から次へと蜜を溢れさせてゆく。
どうやらこの雨はこれからが本番のようだと、喜助は彼女の腰を抱き寄せる腕に一層の力を込めた。
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