道外れの機械人形

不安げに揺れる陽溜まり色の瞳に、笑い返して、その半身を彼女の豊かな乳房に擦り付けた。

「んっ、あぁ!」

「気持ちイイ?」

肉棒の先で、くにくにと固くなった尖端を愛撫する。

「やだ、んっ、」

先走りの汁が絡み、徐々に唾液にまみれたように濡れていく。だが唾液よりも粘りけのあるそれは彼女の肌の上に糸のように張りつく。

「ねぇ、見て?」

喜助のモノが、彼女の豊満な胸を蹂躙してゆく。
乳房に押し付ければ、ふにゅりと形を変えてその肉棒の先端が沈みこむ。
固く勃ちあがった乳首に押し付ければ、喜助のそれを押し返すようにさらに固く勃ちあがる。

「風華のおっぱいが、ボクのでこんなに濡れてるよ?」

擦り付ければ擦り付けた分、透明な先走りの汁がぬらぬらと柔肌の上に糸を引く。
右の乳房を丹念に愛撫し、次は左も愛撫する。

「あ、ァんっ、喜助さん、もう、やめてっ、」

「どうして?」

「ん、や、お願い、普通にして・・・」

「普通にしてるよ?」

「全然、普通じゃない、・・・んっ、ぁ!」

左の尖端にも肉棒の先を触れさせる。彼女の肌に欲情し、だらだらとはしたなく涎を垂らす亀頭を擦り付ける。乳首が左右に倒れるか倒れないかぐらいの弱い力で押し付ける。

「あ!ああ、っ、」

舌先で嘗めるときのように、汁を絡めながら優しく触れる。
風華は体を捻ってその愛撫から逃れようとするが、喜助が腹に馬乗りになっている以上無駄な抵抗だ。

「ねぇ、風華」

「あっ、やっ、」

「こんなことされてるのに、気持ちイイの?」

こんなこと、という科白を強調するように、ずりゅんずりゅんと大きく肉棒を動かして乳首を押し倒す。
先走りの汁が潤滑油となり、肌の上を縦横無尽に滑る。滑る度にこりこりとしたモノが竿を擦ってゆく。

「やめ、ぁっ、」

竿を持ってぴたぴたと横乳を叩く。柔らかなそれは、ふるんふるんと揺れて男を誘う。

「風華のおっぱいは、どんなお菓子よりも柔らかくて美味しそうだね」

白く柔らかなそれの味を想像して喜助が思わず舌舐めずりをすれば、潤んだ琥珀の瞳が非難するように見上げてくる。

「だって、ほらこんなに柔らかいんスよ?」

指であろうと舌であろうと、楔であろうと。
押し付ける度にそれは、ふにゅりと柔らかく受け止めてくれる。離すと、またすぐに元の形に戻って、ふるんふるんと揺れて誘う。さながら、すべてを受け入れて包み込んでくれる風華自身のように。だからこそ彼女を形作るこの体もそんな風に柔らかく出来ているのかもしれないか。同じ素材で造ったはずなのに、不思議なものだ。

「でも、・・・芯はあるんスよねぇ、アナタ」

自身が決めたことは頑として譲らない。
普段は誰にでも譲ってしまうように見えるが、時に喜助相手でも、譲らないことがある。
意を決した彼女の「お願い、喜助さん」と見上げてくる瞳は嫌いじゃない。静かに、ただ真っ直ぐに前を向いて、眩しい程の光を宿した瞳を前にしては、いつも負けてしまう。
本当にいつまで経っても彼女には敵わないらしい。

「・・・、なんの、話?」

今は熱に浮かされて潤んだ瞳を瞬かせて、風華が首を傾げている。喜助の様子に、どこか上の空な様子を感じ取ったようだ。触れ合わせた肌からは、そんなことも伝わってしまうのだろうか。
思考を片隅に押しやって、「こっちの話」と喜助はまた柔らかな肌を堪能することだけに集中する。

「ああ、そうか。だからここにも芯があるんスねぇ」

左の尖端に再度楔を押し付けて左右に押し倒す。

「んっ、ゃあ、」

「ほら。一度勃ちあがったら、なかなか倒れないし、」

根本から折れるように倒れるものの、勃ちあがった小ぶりの尖端自体は萎えることなく、真っ直ぐに天井を向いている。

「こんなことしても、ダメだしねぇ」

「はぁあっ!」

触れていなかった右の乳首を指できゅっと強く摘まむ。予期していなかったらしい風華の高く啼く声を聞きながら、ぐっと持ち上げるように上へ上へと引っ張ってから指を離す。ふるん、と乳房全体が揺れて、先端がより赤く色付く。
いつもなら紅い花が咲き乱れているのだが、先日のことがあってからここ暫くは咲かせていなかった。
そのせいかより鮮やかに白い丘の中央で赤く色付いて見える。

「そろそろ、またコッチが寂しくなってきたんじゃないです?」

後ろに手を伸ばして長い指で繁みを掻き分ければ、くちゅり、と水音をさせた割れ目に飲み込まれる。

「あぁっ!」

「あーあー、さっきよりドロドロじゃないっスか。もうイきたいんでしょ?」

わざと強めに掻き出すように指を出し入れしてやる。
ぐちゅぐちゅと泡立った音がして、風華の瞳が惚けたように空をさ迷う。

「あ、ん、やだぁ、・・・!」

「我慢は体に良くないっスよ?」

とろとろと熱い蜜を溢す泉から指を引き抜いて、喜助はようやく彼女の上から降りる。
はぁはぁと胸を上下させる風華の膝裏に手を掛けて、体を持ち上げるようにして脚を開く。
思った通りそこはしとどに濡れて、てらてらと艶めいている。
彼女の秘所へまた肉棒を擦り付ける。
腰を動かせばちゅくんちゅくん、と水音をさせる。

「ほぅら、欲しくなってきたデショ?」

「あ、あぁ、それ、やめてぇ、っ!」

ーーー早く、
ーーー早く、欲しがってくれ。

正直なところ喜助の方が既に限界を迎えている。
ぐずぐずに溶けた中に入りたい。
交ざり合って、彼女のすべてに触れたい。
そうして初めて、彼女を取り戻せたと、安堵できるのだから。

「喜助さん、だめ、やぁ、」

「何が嫌なの?」

「も、・・・焦ら、・・・ない、で・・・!!」

熱で溶けたカラメル色の瞳から滴が落ちたのと。
隆起し脈打つ血管を四方に張り巡らせた楔が蜜壷に埋るのと。
はたしてどちらが早かったのか。

「あっ、や、あァっ!ん、」

「・・・ぁっ、は、」

突き入れただけだというのに、圧倒されてしまいそうな程の快感に、ぎりりと奥歯を噛み締めて遣り過ごす。
けれど、そのままじっとしていられる余裕もなく。
加速する腰の動きは、アクセルしかない車のように歯止めが利かない。
がつがつと抉る度に、喜助の額から汗が伝い、風華の唇からは繰り返し高く喘ぐ呼気が吐き出される。
最奥のさらに先へと肉を押し広げるように回して突き入れる。

「はぁ、ぁ、もっと・・・っ!」

「あ、や!んっ、おく、だめっ!あ、んん!」

「風華、・・・もっと、」

無意識にだろうが、奥の奥で搾取しようとする女の腰の動きは堪らなく気持ちがいい。
結合部から溢れた蜜が溢れ、肌を打ちつける音に合わせてぐちゃぐちゃに飛散する。
片足を掴み、交差させて更に突き上げると喘ぐ声が悲鳴に近くなる。

「あぁッ、や、んっ、ンン!!はぁッ、んぅ、やぁああ!!」

「く、ぁ、よく、締まる、ね・・・!」

一層腰の痺れが強くなり、畝る蜜壷に射精感を煽られる。
彼女はまだか。
片足を肩に担ぐようにして大きく開かせるとより挿入しやすくなる。互いの繁みを触れ合わさるように腰を密着させたまま、もう片方の掌で柔らかな乳房を揉みしだく。

「ああっ!んんッ!!」

強く痙攣しながらきゅう、きゅうと締め付けてくる膣の動きに風華の限界が近いことを知る。

「風華っ、もう、いい・・・っ?」

「あ、んんっ、はや、くぅ・・・!」

喜助はひとつ頷くと、彼女の乳房の突端に噛み付いた。

「はぁああーーーーーッッ!!」

「く、・・・っ、うぁ、は、っ、」

全身を強くしならせた後に、揃ってくたりと脱力した。
荒く呼吸を繰り返す度に、珠のように浮いた汗がひとつ、またひとつと肌を伝いシーツへ落ちてゆく。

「・・・起きたら、まず、シャワーっスね」

「今、何時・・・?」

「いいじゃないっスか、そんなのは」

手首のリボンを解きつつ「雨だし、今日は誰も来ないよ」と口にすれば、風華はさも呆れたと言わんばかりの深い溜め息をついた。

「もう一眠りしましょ?」

「私、ついさっき誰かに起こされなければまだ寝てたところなんですけど?」

「おや。アタシの大事な風華にそんなことするのは一体どこの誰ですかねぇ?」

「もう、勝手な人」

雨に閉ざされた閉塞する空間で、互いの在処を確認するようにまた固く抱き合う。

「・・・ねぇ、風華、」

「なぁに?」

「次は必ず、アナタを守るから」

「そんなこと・・・私はもう十分守られてるわ」

「・・・約束、するから・・・」

「喜助さん、ありがとう。・・・私ね、貴方が居てくれるからーーーーー、」

彼女は何を告げようとしていたのだろうか。
急激に訪れた睡魔に抗うことも出来ずに、喜助はそのまま泥に沈むように眠ったのだった。




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