僕は君には勝てない 
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『白石ー!』


愛しい人の声がした。
それはそれは、元気で
はつらつとした通った声だ。




「碧!」


碧。
俺の愛しい愛しい彼女。
誰よりも誰よりも好き
なんだ。



『ごめん!今日部活!一緒に
帰れんわ!』


「えー…」


『ごめん!もうすぐ大会なの
知ってるやろ?』


碧は運動神経抜群の
バスケ部のエース。


プレー姿はかっこいい以外
何も例えられない。


1回の試合でファンが20人
増えるとかなんとか。



そういう俺もテニス部の部長
やし?一応全国区やし。
ファンの数やったら碧
に負けてへん。



そんな運動神経抜群の
碧と俺。俺等の子供は
どんだけ才能に満ちあふれた
子が生まれるんやろ、
なんて碧にいうと

キモいだの女々しいだの
言われる。




「知っとるけど!」


『悪いなぁ、今度埋め合わせ
するから!今日は先に
帰っといて!』



明らかにしょぼーんとする
俺をほっといて碧は
チームメイトのそばへ走って
いく。



こういうことはしばしば
ある。


また、逆もしかり、や。


俺が急に部活で約束を守れ
なかったこともある。

ちょっと、俺のわがままかも
しれんけど

『じゃあ、待ってるね』



とか一緒に帰りたいし、俺の
プレー姿見学してっても
ええんじゃないかと思うん
やけど


碧は
『ふーん、ほなうち帰るわ!
頑張ってな』
とすたすた帰ってしまう。

そんなに俺に興味ないんか!



俺ばっかり好きすぎて胸が
苦しくなる。



「これだから碧に
女々しい言われるんや
なぁ……」




『白石!』


体育館から出ようとしたら
ふいに呼び止められた。


「碧…」


『今日、夜電話するから、
待っといてって…な?』



そういうと、またくるりと
方向をかえて走っていく。


きっと今の俺の顔は人に
見せられないくらい
にやけてて、俺は夜まで
電話とにらめっこすることに
なるんやろうな。












†アトガキ†
雫紅様から頂きました!
うわ、鼻血が出る…。
こんな白石でも良いなんて
思ってしまう自分は末期
症状かと…。(-_-;)


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