※いつものごとく見切り発車でノリだけで書いてたら
オチ思い浮かばなくて苦し紛れに終わらせた話です。





『カールエゴッ!』

「チッ」

あからさまな舌打ちにも屈しない。そんなもの私にはなんのダメージも与えられない。

『ねえねえ、ちょっと』

「断る」

話してる途中で食い気味に拒否されたけど、それでも私の顔面はニコニコしたままだ。

「仕事しろ」

『もうおわったー!』

「チッ」

悪周期休暇を返上すべく休日出勤に勤しんでとりあえずは終わったと背伸びをすると
無駄に姿勢のいいカルエゴが視界に入って、ゴロゴロと椅子をカルエゴの机まで移動させて持ってきた。
職員室で繰り返されるそれに、とりあえずカルエゴの机に紅茶とお茶菓子を乗せる。

「おい」

『ねえねえ、ティータイムしよ?』

「一人分だが?」

『これはカルエゴのぶん』

だって私喋りたいから紅茶飲んでる暇ないし。なんて自己中なことを思いながら

『ティータイムは紳士の嗜みでしょ?』

ぼんぼんのカルエゴにそういって、そのまま周りに聞こえないように一応小声で話し始める。休日出勤だから人少なくて声響きそうだしね。

『ねえねえ、あのね』

「ナマエ……わかったからくるくる回るなッ!」

『えへへ、ごめんごめん』

私の顔はでろでろでだらしが無いだろう。そんなこと自分だってわかってる。
そう、私今最高にうかれてるのだ!

『シチロウってね……』


『私のことめちゃくちゃ好きなんだって』



知ってた?なんて締りのない口元を手で抑えながら言うと
カルエゴの顔が最高に歪む

「は?そんな……わかりきったことをいまさら」

『え、カルエゴのなかでわかりきってたことだったの?』

やばくない?シチロウそんなに私のこと好きだったの?
えーもう、ちょっと。えへへ
めっちゃ相思相愛じゃーん

「消えろ」

『え?ちょっと!いいじゃん!もうちょっと聞いてよッ』

一瞬こちらに身体を向けてくれていたのに、私をガン無視して仕事に取り掛かるカルエゴ。
やだやだ!きいてきいてー!こんな話誰にもできないんだもん。
モモノキちゃんは恋話仲間だけど、さすがにここまで惚気てたらつまんないだろうなって思うし。だって私は万年シチロウに片思いしてた時、友達のラブラブ惚気とか1回目は心広く幸せなりな!て思えたけど2回目は無で3回目以降は正直ダリィって思ってたしさ。
シチロウと付き合う前はそれこそお互いに好きな所めちゃくちゃ語りまくってたけど、カルエゴのかっこいい話とかまじで本当に興味ないけどそこはお互い様だし。
モモノキちゃんが可愛いから全然聞けてる。
まあ多少?ちょっと。気持ち私のほうが一方的にシチロウのかっこよさを語ってた感も否めなくはないけど、うん。お互い様よ、うん。
そう、だからカルエゴくらいしかこの熱量でウザ絡みできる相手がいないのだ。
モモノキちゃんは、私がシチロウ大好きなのわかってるからこうやってカルエゴと話してても全然嫉妬とかしないし。ありがとうモモノキちゃん。大好き
今度カルエゴとティータイムするとき誘ったげるね。うん、また今度ね!

てことで

『でねでね』

「貴様のような日頃から好き勝手に生きているヤツに悪周期休暇は必要ないと思うんだが」

『あ!そのせつはどーも。ほんと。えへへ。お陰様で有意義な休暇でした』

「シチロウまで巻き込んで……」

それはシチロウ本人が巻き込まれにきたんだけどねー。なんて思いながら
今の私は無敵だから、カルエゴに何を言われても大丈夫なのだ

だって、休暇全部使ってあんなにいっぱい
とろっとろの甘やかしセックスされたら
もうこちとら怖いものなしなんだもん

はぁー幸せすぎる
シチロウだいすき

寝るかセックスかご飯か甘やかしてもらうか
みたいな最高の休暇だった。

『えへへ』

「で?」

『ん?』

「聞いてほしいことがあるんだろ?手短に話せ」

やっばー!珍しくカルエゴ優しいじゃん!
だがしかし未だに書類とにらめっこしている。

『シチロウがね、私との子供欲しいって言ってくれたの』

「おい」

『最高じゃない?いや、まぁ私が最初に赤ちゃんほしいって言ったんだけど』

「おい」

『これってさぁ……もうさぁそういうことだよね?ご両親に挨拶とかいつ行ったらいいんだろう?カルエゴはシチロウの家族にあったことある?シチロウ似てるのかなぁ』

「ナマエ。ここ職員室だぞ」

『え?そうだけど?……だってカルエゴ呼び出しても呼び出されてくれないじゃん』

だからこうして小声で喋ってるのに

『私もうすぐバラム・ナマエになっちゃうかも』

きゃー!!なんて言いながら話を続ける。

「はぁ……本当に、なんでシチロウはこんなやつのことを」

『わかる!私もそれ常々思っているのだよカルエゴくんッ』

「は?」

『シチロウって完璧じゃない?優しいし、かっこいいし、強いし、優しいし。なのにこんな……私でいいんか?みたいな』

「奇遇だな。はじめて意見が概ね一致した」

『だよね?ほんとに……』

なんで私の事を好きになってくれたんだろう。
私の事をかわいいかわいいって、好きだよってめちゃくちゃ言ってくれるし
聞けば具体的にこういうとこも好きだよってこっちが止めるまで全部一個ずつ言ってくれたけど

聞けば聞くほど、なんでシチロウみたいに最高に素敵な人が私の事こんなに好きなんだろう?って謎ではある。

だから、ちょっと前までは自信なかったし
実際なんかやさぐれてたし

「おい……」

『ん?』

急に黙り込んだ私に、カルエゴはなんだか難しい顔をしていて
あれ?もしかして心配してくれてる

『でもね、それでもわたし、シチロウのこと絶対離してあげないって決めたの』

へへって笑いながらそういえば、少しだけカルエゴの表情が柔らかくなって

「そうか……それは、わかりやすくて貴様らしいな」


『え』

「なんだ」

『カルエゴが私を肯定するの珍しい』

「……肯定はしていない」

『えー、そう?でも嬉しい』

フッて鼻で笑ってまた書類に向き合うカルエゴにちょっとだけ感謝して

『だからカルエゴにも赤ちゃん抱っこさせてあげるねって話』

「は……」

『シチロウ喜ぶよ。カルエゴのこと大好きだもん』

「………」

『お祝い期待してるね?』

「は?」

なんてちょっとカルエゴを茶化しつつ、あとちょっと惚気聞いてもらおー!てかシチロウの家族にあったことあるのか結局答えてもらってないわ。

「なになにー、何の話してるの?二人で」

『あ、ダリ先生お疲れ様です』

「はぁ……別になにも」

「何もってことはないでしょう」

『カルエゴ先生とバラム先生の仲の良さについて話してましたッ!』

「は?」

「えー、なにそれ面白そう」

『あ、先日は急な休暇ありがとうございました。ご迷惑おかけしました』

「ああ、いやいや。そんな」

にこりと笑うダリ先生にホッとした

「と、言ってあげたいところなんだけどちょっと聞いていいかい?」

『え……あ。はい』

カルエゴが他所で話してくれ、と言う顔でこちらを見ているのを私もダリ先生も気付いているけど知らないふりをしてそのままカルエゴを挟んで会話する。

「バラム先生といつからそういう関係なの?」

『あー……』

悪周期休暇にあわせて、一緒に休暇をとるなんて
よっぽどじゃないとそんな事はしない。恋人でも夫婦でもなかなかそんな事しないし
悪周期まで達したストレスは人格破綻も垣間見えるのでお互いにいい影響がほとんどないからだ。
そんな中一緒にわざわざ休暇をとるなんて、下世話な話もうそういう事ヤリまくります(しかもハードめなプレイ)みたいな宣言してるみたいなもので

『へへ、実はちょっと前からなんです』

「いやー、全然気づかなかった」

『ほんとですか?』

だって死ぬほど気つかってたからね!実は
カルエゴの前だけだよ。あんな堂々とイチャイチャしてたの

「いや……本当に。なんならナマエ先生ってカルエゴ先生と付き合ってるんだと」

『は?』



過去一低い声がでた

カルエゴに至っては静かに本気でキレている。

「えー……だって、仲いいじゃん?二人」

『いやいやいや』

「だっていつもナマエ先生カルエゴ先生に絡んでるし」

それはシチロウ目当てですけどね

「カルエゴ先生だって、そこまで邪険に扱ってないし。あしらい方が仲いいソレだったから……じゃれてるのかと。学生の時からずっとそんな感じで二人仲いいし」

いやいや、シチロウと付き合ってから露骨に惚気てたらそこそこ本気で邪険に扱われてましたけど……小声で惚気てたのがアダとなってた!!くそぅ

「ありえん。こんなヤツ」

『いや、それはこっちの台詞なんだが』

「原因は貴様のせいだろう」




『たしかに』


カルエゴにしつこく喋りかけてたのは私だ!!とかなりショックをうける

『ごめん、でも絶対そんなことないですッ、てかバラム先生ラブなんで、私!筋金入りなんで!!学生の時の初恋からいままでバラム先生なんで!本当に大好きなんで』

「お、おう」

ダリ先生すら引く勢いで捲し立てる。

でもそういえばこんな事前にも

え?私そんなにカルエゴに興味あるようにみえるんか?え??

『そういえば、シチロウも私がカルエゴのこと好きだって勘違いしてた……』

「は?」

信じられない。というようにカルエゴが目を見開いて驚いていて
ダリ先生にいたってはわからなくもないー。みたいな顔をしている。

嘘でしょ。

「どこをどう見たらそうなるんだ。ずっとシチロウシチロウ五月蝿かったのに」

『カルエゴ……』


カルエゴはわかっててくれたんだ!と少しだけ嬉しくなるけど
なんかこれで嬉しさ感じるの違うくね?となって一瞬で無にかえる。

『あの、とりあえず私シチロウ一筋なんで、誤解訂正してください』

「あ、うん。りょーかーい」

ずいぶんライトな感じの了解に、もしかして他の先生にもそう思われてたのかって少しの不安と不快感に襲われる。


「あれ?みんなで集まってどうしたんですか?」

『シチロウッ』

「ん?」

あ、やば。シチロウのあの「ん?」めっちゃ好きなんだけど。
目を細めて首を傾げながら、ポンッて私の頭を優しく撫でてくれるシチロウにめろめろになりそう

え!いや!ここ職員室だよ!シチロウッ

すき、だいすきシチロウ


「いやー、その。バラム先生のことを少々」

「僕ですか?」

ダリ先生そこは適当に誤魔化しなよっておもったけど、シチロウをダリ先生がごまかせる気がしないのでしょうがないかと納得。
てかダリ先生と話しながら、指先で私の髪の毛梳くの辞めてもらっていいかな?ちょっと刺激が強すぎてお腹の奥キュンキュンしちゃうんだけど、目の奥ハートになっちゃいそうなんだけど。

『その、わたしと、シチロウの話を……』

「ああ……なるほど。聞けたいことは聞けました?」

「ん?うん。まあね…全然気づかなかったーて」

「まぁ一応ナイショにしてたんで」

「そうなんだ、別にいってくれてもよかったんだけど」

まあたしかに大っぴらにイチャイチャするわけでもないから、事実として付き合ってます。ていど公表するのはなんの問題もないわけで

「あー、ナマエ先生はこう見えてかなり恥ずかしがり屋なんで」

『ぁ』

二人から見えない角度で、スルリと耳の後ろを指先で撫でられてそのまま指が離れた
耳触られただけでイッちゃったこととか、あのとろとろの甘々子作りセックスとか馬鹿みたいに思い出しちゃって
お腹の奥がキュンキュンして、ブワッと顔が熱くなる。

「そうなの?さっきまでバラム先生大好きー!とか言ってたよ?」

「そうなんですか?……そうなの?ナマエ先生」

『あ、ぅ……』

耳が熱くて
頭が全然うまくまわんない

え?ちょっとまって、シチロウなんか色気やばくない?
えっちじゃない??

え、

ええ?

すごいすきなんだけど

と言えるはずもなく

『ん……』

プシューと頭が熱くなって俯く。
顔が真っ赤になってるのがわかって、ドクドクと心臓がうるさい。

「おお、照れてる」

「恥ずかしがり屋だもんね」

ちょっと、、やめてやめて!ほんとに!!
なんなの?なんなのシチロウ!

「いやー、ごちそうさまぁ」

何て言いながらダリ先生が離脱して

「わざわざどうしたんだシチロウ」

「ああ、そうだった。サブナックくんのことでちょっと」

「おい、ナマエもういいだろ」

『ん』

頭まわんない

「ナマエちゃんお仕事おわったの?」

『あ、うん。もう一通りは』

「わかった、じゃあ準備室で待っててくれる?おやつ食べてていいよ」

『あ……うん』

「じゃあまたあとでね」

『ん』


呆れた顔のカルエゴに冗談を言う余裕もなくて、ゆっくりと職員室を後にする。

まって、もしかして

プライベートでも職場でも
あんなシチロウに常にめろめろにされちゃうってこと?

ちょ、やばい

これはやばい。はやく慣れないと死ぬ


いや、慣れるのかこれ?

ばくばくとまだ心臓がうるさくて


私死ぬくない?と気が気じゃない




幸せすぎて死ぬ










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